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What's New2011年1月の更新
 What's New
株式会社ANALOG   場調査から戦略構築まで現場をサポートするマイクロシンクタンク 
  エリアマーケティング・商業開発・まちづくり 

   (sano@analog-corp.com
■「長浜楽市」と「黒壁」〜人を集める仕組みの落とし穴

 西友の立地創造型SC長浜楽市

 1988年。滋賀県長浜市の駅前にあった「西友」が郊外に移転。「長浜楽市」と名付けられたショッピングセンターが建設されました。開店当時、体験型シューティングゲーム(器具を付けてレーザー銃の撃ち合いをするアトラクション)やハーブティーが提供される蘭の温室など当時としては珍しい集客装置を備えた「立地創造型」の複合施設でした。

 随分不便な場所にあるのでバスを乗り継いで取材に訪れた思い出があります。駐車場1,000台は当時としては大規模な駐車場でした。地盤沈下を始めた長浜市の中心市街地の店舗が数多く移転したのを覚えています。
 
 その後「アルプラザ」や「ジャスコ」の大型ショッピングセンターが開店し、大きく売上を下げました。現在はユニクロや100円ショップが入店する普通の郊外型ショッピングセンターになっています。

 人工的に人を集める仕掛けが「西友」の低迷と共に続けられなくなったのが「衰退」の原因だと考えています。出来たときはとても楽しかったのですけれどね。

 長浜黒壁の持続的な成功

 同じ時期、低迷する中心市街地で市街の古建築の保存と再生のための博物館都市構想を掲げた第三セクター(長浜市と地元民間企業8社が出資)「黒壁」が1988年に設立されました。

  「黒壁」設立の主目的である旧第百三十銀行の保存と再生は同建築が1989年に黒壁一號館「黒壁ガラス館」としてオープンすることにより達成された。 さらに「黒壁」はこの一號館の周囲の古建築を、次々と美術館、ガラスショップ、工房、ギャラリー、カフェ、レストランへと再生してその数10館、「黒壁まちづくり」に参画する館を合わせると計30の古建築の再生に携わった・・・(ウィキペディア)

 最初の計画の時に調べると歩行者はほとんどいなかったと初代の代表の笹原氏は語っていました。ガラスの工房は長浜とは全く縁もゆかりもない物ですが、本物を持ってくることで「おばちゃん層」に圧倒的に支持されました。外部から誘致した集客装置とともに地元資源としての「建築物」、「盆梅が有名なお寺」など地域の資源がかみあったのが、年間300万人の観光客を集める成功の秘訣です。(新快速が停車するようになった交通の利便性拡大も大きな要素です)

 スタート時には地元の商店主は全く参画しないで、郊外の大手資本の開発である「長浜楽市」に移転していったそうです。


 都市開発、都市経営にマーケティングが不在なので、首長は派手なアドバルーンが好きで「集客装置」の誘致を公約に掲げます。過去の失敗を総括しないから同じ過ちを繰り返すのだと思います。

                                              (2011年01月31日)
■「シェア」が重要になる社会でビジネスはどう変わるか?

 リサイクル古着店「ドンドンタウン・オン・ウェンズディ」埼玉新所沢パルコに3月5日オープン

 関西では馴染みがないのですが、中古ファッション衣料の買取販売、毎週水曜日には値段を下げていく得意な販売手法で、関東・東北地域で路面店を出店している「ドンドンタウン・オン・ウェンズディ」が埼玉県の新所沢パルコに出店します。これからファッション感度をあげて駅周辺の路面店に出店していくそうです。

http://www.dondondown.com/ へのリンク

ブックオフの洋服版のような感じでしょうか?

 このような業態の発展は「ファッションビジネス」を破壊するのでしょうか?わたしはそうは思いません。ユニクロやH&Mの服は1年着ればもうゴミのようになってしまいます。リサイクル、リユースしようと思えば、しっかりとしたつくりの質の高い衣料品である必要があります。有名ブランド品の中古が流通しているのはそういった質の高さが評価されているからです。この出店を報じた繊研新聞では別の紙面で「「パタゴニア」の「CTキャンペーン」(コモンレッズ・イニシアテブ)の開始を報じています。包括的に商品の循環・再利用を実現するキャンペーンです。顧客との相互の協力で。、リサイクル、リデュース、リペア、リユースの仕組みを構築するというものです。


 100年家具の考え方

 ニトリ、イケアなどの安くて使い捨ての家具が氾濫する業界で、家具の履歴管理を行い、修理しながら使い継いでいく仕組みを構築しようという試みも始まっています。

http://www.harmonichouse.com/policy/index.html へのリンク

 シェアが注目されています。ルームシェア、カーシェア等々。商品の「リユース」は時間軸の中でのシェアといえるでしょう。

                                                  (2011年01月28日)
■「有名である」事が成果を担保してくれるわけではない

 外部の専門家を登用するとき「有名」な人を選ぶ理由

 親会社が固い企業の子会社である某リゾートホテルの支配人として招聘されたのは、海外では有名チェーンであるホテルのアジア圏の「マネージャーというN氏。関係者は、その素晴らしい経歴と、国内のホテルにないノウハウに大いに期待した物でした。

 N氏の要求する領収書をとらない「枠を定めない交際費」についても「何か変だな」とは思うものの、自信を持って断言するN氏の口調に何となく「日本にないノウハウ」の幻影を見てしまい承諾してしまいました。

 就任後のN氏はホテルのレストランで自分のお客さんと会食し酔っぱらう姿は見受けられましたが、その人脈で海外からの誘客を果たすわけでもなく、有名リゾーとホテルの接客ノウハウをスタッフにたたき込むわけでもなく、いつの間にか解雇されていました。
 
 某地方都市の3セクリゾートホテルの計画では、人員配置や営業手法などで新しい考え方でホテル運営をする事業者の強力を得て、何とか採算に乗せられる事業計画が構築されました。・・・計画の最後になって地元の老舗ホテル出身のマネージャーが承知され、老舗ホテル流の運営手法、営業スタイルに切り替えて事業は大赤字になりました。
 意思決定者は、最後の最後に「老舗ホテル」の知名度で失敗のリスクを回避したのだと思います。有名ホテルの経験者がやっても駄目なのだから「担当者」が責任をとらされることはない・・・。よくある話です。

 D通に発注しておけば上司に責められな

 企画コンペなどが沢山あった時代、企画が良くても大手広告代理店に負けることがとくありました。発注先のご担当者が「もしD通以外に発注して失敗したら、責任を追及されるが、D通に出して失敗しても、D通がやってもだめだから仕方がないと責められない」と語っていました・・・本当かどうかわかりません。でも、いかにもありそうな話として伝えられています。

http://www.sendenkaigi.com/mastercourse/comic01.html へのリンク

(H堂が流した都市伝説だったのでしょうか・・・・)


 サラリーマン経験者として「リスク」を負いたくない気持ちは理解できますし、有名であって能力のある人も少なくないので、社内調整に時間をとられるよりその選択肢を選ぶという判断もありかもしれません。ただし、そのような意思決定しかできない組織は腐っているので、早めに見切りを付けた方がいいかもしれません。
                                                      (2011年01月27日)
■「京都水族館」計画」の今

 専門家の提言を受けて計画変更

 京都水族館は来年の春開業を目指して着工されています。水族館が建てられる梅小路という立地はJR京都駅が最寄りの駅ですが、微妙に離れています。鉄道博物館が整備されるようなので今後注目されるエリアではあります。

 オリックス不動産が国内最大級の内陸型の水族館を市から土地の提供を受けて建設する計画が発表されてから、「何故京都に水族館なのか?」「目玉であるイルカショーは野生生物虐待として国際的に非難される」「市有地の提供の是非」などについて市民から多くの疑問が出されていました。
 オリックス不動産は新江ノ島水族館での運営実績もありますし、そこでは「グリーンピース」(環境保護団体)とも折り合いをつけてイルカショーで集客していましたから、土地使用料が入り、「集客施設」が整備できる行政としては「悪い話」ではなかったのでしょう。

 昨年7月に着工した跡、専門家の提言を受けて計画変更が昨年末に発表されました。

 「完全」なものではないかもしれませんが、事業者として精一杯の対応をしていると思います。京都地域の環境を表現するための「地元淡水業の展示の拡大、イルカは野生のイルカを捕獲(映画で糾弾されていましたね)するのではなく他の水族館から譲り受ける。タッチプールの廃止。イルカの水路拡大・・・。この変更に忠実に対応していると「教育施設」としての色合いは強まります。ただし、興業施設としては制約を多く抱える事になり。事業としては厳しいと思います。

 この計画についてはお隣の大阪府の府民にも知られていません。できることなら欧米の観光客には知られないようになればいいなあと思います。些細なことでもクレームを受けると「京都」の国際的なイメージが損なわれてしまいますから・・・・・・。

オリックス不動産の発表資料
http://www.orix.co.jp/ore/press_101227.pdf へのリンク

 

                                                   (2011年01月26日)
■ニューヨークの摩天楼と「世界ふれあい街あるき」

 映像に見える「ニューヨーク」の「落日」?

 映像はいくらでも印象操作できますし、自分自身が老化して情報の受信力が衰えている所為かもしれません・・・。ただ、昨日たまたま放送されたニューヨークの映像で目にする高層ビル群(クライスラービル、エンパイヤーステートビルAT&T〜ソニ−プラザ)、はほうれい線やのどのシワが目立つかつての美女のような「老い」を感じさせる映像でした。・・・あくまでも主観になってしまうのですが。

 WTC跡のビルは2014年に完成するそうですからその時には印象が違って見えるのでしょうが、新しいエキサイティングな建築物はんがあまり見あたらない所為かもしれません。中東や中国で奇天烈な高層ビル(中身はないけれど)が沢山建っている所為かもしれません。これらの街に街の中の魅力はあまり伝えられていません。(中国では貧富の差が激しくて上海の街の印象も地域によってかなり差があるようです)→現地を訪れる人は結構がっかりするようです

 ニューヨークの街の魅力は沢山の人種が流入しそれぞれの文化が融合した街にあります。足元の魅力があった上で、歴史的な建築物と最先端の建築物がミックスされたところが他にない特徴付けになっていました。街場の魅力と「見た目のインパクト」が相乗効果を発揮していたといえます→リアルなコンテンツの充実と伝わるイメージ作りの相乗効果

 一旦閉鎖されていた「FAOシュワルツ」も再開したようですし、「ブルーミンデールス」などの高級百貨店の売上げも回復基調にあるようです。とはいえ、強烈な吸引力がないのはアメリカという国の基本的な勢いが衰えているのだと思います。「内向き」と揶揄される日本人の海外留学生も単に、ハーバードへの留学生が減っているだけで、ヨーロッパーやアジアへ向かう留学生が増えて入るにすぎません。「世界の多極化」というのはこういう所に現れているんだなあと実感させられます。→アメリカのトレンドやデザインをいち早くコピーすれば日本で成功できた時代はもう終わりです

 「世界ふれあい街歩き」のファンが多いようですが、日本人の「海外への憧れ」も名所旧跡やランドマークとなる建物を訪問するスタイルから変化しているように思います。→見た目やイメージの疑似的体験からリアルなコンテンツへ

 一方「街」の楽しさをアピールするために「目に見えるインパクト」も必要です。新しい大阪駅も頑張っていますが、梅田北ヤードの建物の絵を見ると・・・・・。バブルの時に都心に投資して文化施設とかも整備しておけばと・・・(どうせ借金を背負うなら)思えます。地価が安くて人の行かない場所にいっぱいつくってもね。→フンデルトワッサーのゴミ工場など都心に作れば名所になったでしょうに

 「立地創造型」とか「アーバンリゾート」という「コンセプト」の功罪を総括して、次の世代に教訓として引き継いでおくのが責任だと思います。→二番煎じを自分で使い回して金を稼ぐのは恥ずかしい事です

                                                (2011年01月25日)

■どんな目的を持ったどのような人を集めるのか〜集客の質と量について

 ・「たこやき屋」の正しい立地とは〜テキ屋的産業からの脱却

 ・中止された梅田北ヤード「巨大サッカースタジアム構想」の暴走は何故とまらなかったのか?

 ・巨大イベントスペース「大阪ドーム」への集客が周辺地域に波及効果がなかった理由

 ・地盤沈下といわれる「大阪」のライブエンタテイメントの市場規模が神奈川、愛知を上回る理由〜人口規模だけでない市場

 ・海外観光客集客の目玉として「ライブエンタテイメント」が提起されているが、ターゲットは国内だろう。

 ・大阪に「ハコモノ行政」の恩恵がなかった理由?「文化」より「実利」を優先した愚を繰り返してはいけない。

 ・「立地創造型」 商業開発の通念からの脱却〜この四半世紀で新しく出来た「百貨店」で成功しているのは「京阪」「京急」など
  駅立地だけ。


 といった事柄を考えながらデータを読み込んで原稿作成中です。CRIの来月号には発表。話が拡がりすぎているので整理する必要があります。
 
                                         (2011年01月24日)
図ーライブエンタテイメント市場規模比較(2008年)    〜ぴあライブエンタテイメント白書データから当社が加工
■「終の棲家」ではない住宅開発が新しい需要を生むかも知れない

 若い世代に顕著な「終の棲家」でない立地への居住意向

 住宅を選択する基準として「通勤の便」「買い物施設」「環境」あたりがオーソドックスな基準です。リクルートなんかの調査でもそれらが上位にあげられています。確かに子育て環境や、毎日の生活の利便性はとても重要です。
 すんでみたい地域の回答を見ていて、はたしてそれだけが全てなのかと考えさせられます。

 「住む」というベースは働いたり、遊んだり、勉強したりという活動の基軸なので、その活動にあわせた住まいというのがあってもおかしくないと思います。研究活動や創作のアトリエ、音楽スタジオの中での居住等々・・・
 終の棲家ではないにしてもある時期の活動に最適な住まいの立地と住宅の仕様があれば街がもっと面白くなるように思います。(まあ、普通の日常生活の繰り返しが大事なので、ラブホのようなテーマパークマンションは避けたいとも思いますが)

 URや大阪ガスの「実験住宅」、立地の悪い場所での特徴付けとしての「ペットと共生できる賃貸住宅」や「二輪ライダー向けの賃貸住宅」などもありますが、都心のまち作りと連動したコンセプトをもった、「立地の良い」場所での産業や研究、ファッション等のクリエーター活動と結びついた住宅開発が有効なのではないかと思います。

 一部にある「シニア住宅」や「サービスアパートメント」などが近いのかも知れませんが、「機能」での特徴付けにとどまっており「コンセプト」「まち作りコンセプト」とのつながりが薄いように思います。・・・単にお金持ちを呼びたいだけ?みたいな。


以前にもご紹介したテーマパークマンション 明来
http://www.aki-club.co.jp/designers_apartments/index.html へのリンク

まあ、これあはあくまでもネタでしょうが

                                                  (2011年01月21日)

図 一度は住んでみたいエリア(なにわ考現学2005)
■JR大阪三越伊勢丹の開業が5月4日に決まったことがわかった

 株価の持ち直しで富裕層の消費が活性化?

 景気が良くなってくるとテレビ番組で「おばかな金持ち」の「おばかな浪費」を見せびらかす番組が登場します。春闘のやりとりを見ていると大企業の収益は良くなっているようですし、株高で富裕層の消費意欲が活発化してきているという声も聞かれます。そういえば大阪府の税収も法人税が回復してきて予想以上に好調なようです。
(お金を持っている人は節約に飽きてきているのだと思います)

 JR大阪三越伊勢丹開業

 景気が悪い時期に計画された新店であるJR大阪三越伊勢丹の開業が5月4日に決まったようです。本日からWEBサイトがオープンしていますが、伊勢丹らしいファッショナブルなイメージですね。

 そういえば、開業当時の梅田大丸はすみからすみまで洗練されていて美しい店でした。今でもはっきりと覚えています。3月に増床オープンする梅田大丸はどのような姿を見せてくれるのでしょうか。(先行して改装した売り場のテナントさんからは厳しい話も聞こえてきますが全面開業すればきっと変わるでしょう・・・変わってね)

 売場効率とか利益確保が先立って、ある意味無難な売場になっている大阪の百貨店業界に風穴をあけてくれることでしょう。三越の本格的な店舗も関西では久しぶりなので阪神間の高齢富裕層は楽しみにしていることと思います。(競合は神戸大丸ですね)阪急では物足りないようで、阪神間では「島屋」の外商の方が結構歓迎されていると聞きます。

 百貨店業界の再編の噂が飛び交っています。「島屋」と「丸井」の統合の話もあるようですね。関西では「なんば」と「四条河原町」で隣接しているだけに局地的には補完関係があると思いますが、首都圏で統合のメリットがあるのでしょうか?島屋の立場で考えると「神戸」に拠点が欲しい所ですが・・・・・・。

                                                 (2011年01月20日)
■お金をかけるのではなく手間をかける「広報」を

 マスメディアへのアプローチは農耕的なアプローチ

 最近でこそ広告出稿はかなりお手軽な価格で出来るようになりましたが、マスコミへの広告出稿はかなりのコストがかかります。また広告での「売り込みの言葉」より客観的な第3者語ってもらう方が説得力があるので、マスコミを中心とした「広報」に力をいれる企業が増えてきています。

 横文字名前の「外資系ぽい」「IT企業ぽい」PR会社に莫大な費用を払っている企業もありますが、費用対効果はいかほどでしょうか?格好いいプレスリリースや盛大なレセプションより、メディアのスタッフとの人間関係の構築が「記事」として取り上げられる確率を高める事を沢山見ていますので、正直無駄金を使っているなとしか思えません。

 これだけネット環境が整備されて情報が一瞬にして全世界を駆けめぐる中で、なお「東京」への集中が続くのはマスメディアが東京に集中しているためです。

 かつて、大手PR会社と一緒に、毎月定期的にキーマンとなる編集者を招いて「勉強会」をの事務局をお手伝いしていましたが、ひとえにマスメディアと広報部の人間関係の構築が目的でした。その「キーマン」の持つ「人間関係」「ネットワーク」をそのたびに対価を払って活用しようと思えば、莫大なそして税務署に対して説明しにくい費用が発生します。「情報交換」をかねて少しづつ費用を発生させる地道な努力が必要です。

  関西の超一流レストランでは、レセプションに大勢を招くのではなく、毎月サービスの覆面モニターという仕事のお願いをマスメディア関係者に行っていました・・・これも関西の業界に顔の広いキーマンの人間関係を少しお借りする手法をとりました。「ご招待」ではなく「お願い」であることが重要なポイントです。

 都市開発にも事前PRによる差別化を

 多くのプロジェクトが並行して進む都市開発でも、単にプレスリリース発信だけでないPR活動が必要です。単に建物スペックや「関西初」とかの自己満足だけでなく、「人の顔が見える」「物語が見える」情報発信が記事として取り上げやすいモノになります。

 マスメディアや地域メディアだけでなく、高層ビル関係のブロガー(結構楽しみに見ている人が多いようですよ)への案内やツィッターなどでの情報発信(平松市長も始めています・・・)も組み合わせると相乗効果が出るように思います。

                                               (2011年01月19日)
    
■「元気のある企業」「勢いのある企業」に何を学ぶか?

 「元気な企業」のその後

 バブル以降2005年頃まで「元気な企業」「元気な事業」の方を招いてお話を伺う勉強会のお世話をしていたことがあります。」関西ではそのような機会が少ないのでなかなか好評ではありましたが、主催企業が東京に軸足を置く方針に転換し(立ち消えになりました。

 「CCC」や「ミスミ」、「オイシックス」「パタゴニア」などその後成長を続ける会社も少なくないのですが、その後破綻した企業も少なくありません。経済新聞や、雑誌などから「元気な企業」をピックアップして選択するのですが、話題になっていても怪しい会社の特徴がいくつかあります。

 ・各社のポイントをまとめて一つのポイントとして使える新しいシステム・・・という触れ込みのFC事業
  (真偽は定かではありませんが、ソニーの元役員も出資というのがもっともらしい)
 ・小規模の住宅型介護事業のFCシステム
 ・シニア富裕層を読者に持つ会員制情報誌・・・(架空上場詐欺で社長が逮捕)

 それらしいビジネスプランで「出資」や「FC事業」でお金を集めることが目的であることが特徴です。
 また、社長」は元気でも社員が「元気でない」企業も要注意です。小さい企業なのに、若くて美しい秘書を侍らせている社長もNG。自説を述べるのに雄弁であって、他人の話を聞かない、高圧的に遮るというのも危ない。

 私が担当して取材講演依頼した企業ではないうというものの、講演会を聞いて下さった会員様には大変申し訳ないことをしてしまったと思います。
 基本的に他人に儲け話で出資を募る人はまず疑ってかかるという事が必要です。「そんなに儲かるんなら自分でやれよ」というつっこみを忘れてはいけません。・・・・「私は自分で儲けるよりお手伝いをするのが好きなんです」という言葉を信じてはいけません。

 「グルーポン」騒動の後もNHKがニュースで「元気な新事業」というスタンスで紹介していました。別に出資を募っている企業ではありませんが割引前の「定価」があいまいで、詐欺とはいいませんが購入者を惑わすサービスなので、もっと中立的な紹介をすればいいのにと危惧した次第です。急成長企業はひずみを修正しながら成熟していくので、長い目で見守っていきたいと思うのですが・・・。ただ元気である、勢いがあるから何かいいことがあるのだろうというような思考停止での評価はどうなんでしょう・・・「エンロン」とかの事忘れてしまったのかしらん。

                                  (2011年01月18日)
■情報とシステムだけでは価値は創れない〜グルーポンおせち騒動から考える

 WEBマーケティングの暴走

 インターネットの普及により、ロングテール(通常の市場では需要が大きくないが、長いレンジでみれば需要のある商品)が日に目を見るという幻想に惑わされていましたが、実際に起きていることは「売れ筋商品」への集中現象です。

 WEB通販の指南書やWEBモール、クーポン業者のセールストークでは
 ・価格を訴求してお買い得感を訴える〜セールの乱発(低下を偽装してでも割引率を高める)
 ・売上ランキングの上位であることを訴求(そのために自前で偽装のランキングをつくる)
 ・購入者へのリピート販売、周辺商品販売(うるさいほどのダイレクトメール)
が売上向上の秘訣といわれています。


 おせち料理で失敗したカフェも、店舗で食べる分にはそこそこ美味しい料理を提供していたのかもしれません。
身の丈に合わない注文数が発生した時に、グルーポンへのキャンセルも発生するので自社だけでは撤収を判断できなかったのだと思います。

 WEBを使えば思わぬビジネスの拡大のチャンスが得られる場合もありますが、その需要に応えられるだけの対応力がなければアウトになります。・・・・食品の企業は中小企業が多いのですが、対応できるのは大企業しか残りません。「量」が売れることが「値引き」の担保になっていますし、「量」が売れないと購入者に知られることがない(モールでの表記の順番や検索での順番があがらない)以上、零細業者に勝ち目はありません。

 WEBを活用した新しい販売手法に対して商品やサービスを供給する方の対応力が追いついていないようです。・・・・食品に関して言えばこのシステムに対応できるベンダーの商品は、あまり美味しくなさそうですが。

 東京より新潟のイタリアンが美味しいというつぶやきは負け惜しみばかりではない

 たまたま、みていた新潟の森ゆう子議員のツィッターで、「東京より新潟のイタリアンの方が美味しい」というつぶやきに、単に地元びいきの負け惜しみではないリアリティを感じました。
 地方の最高の食材は東京の築地に集まりますが、その次の食材は地元で消費されますし、何よりも鮮度が高い。東京の良い立地であれば店舗の維持コストや人件費がONされます。料理や洋菓子は本気のシェフやパティシエがいればいいので、地方でも美味しいモノがつくれます。儲けたい事業者は東京で商売をすべきですが、美味しいモノを提供したい事業者は東京へ出店する事のデメリットが大きいように思います。

 都会で商売をするメリットは人との交流によって得られる情報です。ものづくりの企業で技術力に自信があれば逆に人の方が会社に近づいてきます。・・・関西の企業で東京に本社を移す企業は「消費財メーカー」や「百貨店」など・・・何かを創造しようということが目的の企業ではなく、人からどう思われるかを大事に思う企業が多いようです。

 記号化されたイメージや情報は企業の飛躍のいためには大事な要素です。ただ、「価値を生み出す力」というのいはそれとは別の次元で存在していて、それはそれで大事に育てる必要があるという気がしています。

                                         (2011年01月17日)
■行列を厭わなくて良く歩くのが都会人の条件?〜秘密の東京ケンミン特性

 行列をして昼食にありつく東京人の変わった性癖

 東京へ出張して奇異に思えた風景は、オフィス街などで昼食時に行列をして食べる習慣でした。(特に評判のラーメン屋さんとかいうわけではありません)最近はオフィス街の商業施設も増えてきていますし、コスト削減のためにテイクアウトを利用することが増えてきているので、以前ほどの混雑はないのかも知れません。〜もう過去の風景なのかもしれませんね。

 かつては東京人の「ケンミン性」で従順で我慢強い人達が多いのだなあと思っていました。よく考えると人口の集中度が桁違いに高いので需要と供給のミスマッチが常態かして、並ばなければ食べられなかったというだけにすぎません。当たり前の話ですよね。
 
 同じように指摘されているのは「東京の人はよく歩く」「広い範囲を移動する」という行動パターンです。街の中もそうですし、かなり離れた盛り場間も(もちろん電車や来るまでですが)回遊します。

 大阪のOLはは通勤定期がある範囲しか行動しない・・・という議論の裏返しともいえます。地方都市の場合は「車」で移動が多いので逆に歩かないですしね。

 何故移動するのか?

 街の中を歩くのはやはり人口の密集度と関連すると考えています・・・街が薄く広い。大阪の梅田と東京の銀座を比較するとイメージできます・・・・それでは大阪のミナミは?

 繁華街間の移動はこれは確実に人口密度に関連しています。鉄道の料金が大阪に比べて安いのです。そして友人の居住地が千葉佐、埼玉、横浜と広域にわたるためにそれぞれのホームグラウンドで遊ぶ事が多いので、交流が深まるのだと思います。

 大阪梅田の回遊は?

 さて大阪梅田の商業集積は一体とした集積力があるのでしょうか?野村総合研究所さんが以前発表した調査でもターミナル百貨店は鉄道沿線客の利用が中心です。

 地下街は茶屋町近くから泉の広場、西梅田は福島近くまで拡がっていますし、南では中之島にまで拡がっています。鉄道駅を中心に用事がある方向に向かって人が流れていくつかのブロックが形成されるでしょう。
 大阪のOLさんは歩いて回遊してくれませんからね。・・・堀江、新町、南船場にしても利用する店は決まっているので広く歩き回らない・・・そのため今ひとつ爆発的に拡がらないのです。

 ジュンク堂が梅田の周辺で3店目を茶屋町に出店したのはそれを想定した結果でしょう。

 何度も言いますが、単に梅田の商業施設の面積が増えるから単純に集客力が高まるという事はありえません。同じような店が増えても魅力の向上にはつながらないからです。

 今、同質化競争している梅田の大型店は今年以降大きく変わると(勝手に)分析しています。既存店舗にフロア単位で「大型書店」「大型ユニクロ」「フランフラン」「ビックカメラ」が入るとか、フロアごと「丸井」または「パルコ」の運営になるとか・・・個人的な思い入れとかしがらみを排除して考えれば、誰もが簡単に予測できるはずです。
 (梅田北ヤードのサッカースタジアム計画にしても、本当は誰もが実現は不可能だと知っていたでしょう)

                                              (2010年01月14日)
■何故か集客効果の高い「文化ホール」に投資しない大阪の行政

 「公」であればこそ整備できる文化ホール

 以前にも指摘しましたが、関西には2,000席クラスの音楽ホールが無くてプロモーターが困っているそうです。工事中のフェスティバルホール、旧厚生年金会館の他に、大阪には大型のスペースはありません。
 大阪ドームは多目的ドームとして活用が考えられますが、ここをコンスタントに埋められるのは「嵐」か「AKB」位しか思い浮かびません。大阪城ホールも少しでかすぎます。

 商業関係の調査をしていて確信しているのは、近隣から都市に人を集めるのに、商業だけでは力不足で文化レジャーアミューズメントのライブエンタテイメントが必要だということです。(商業はどこも同質化していて都心の施設での感動がありません)

 大阪市に隣接している堺市(電車でなんばから20分)の駅前に堺市民会館が移転し、2,000席の大ホールが設置されると聞いて大いに期待していたのですが結局とりやめになったようです。
 大阪都市圏で市内から近く他にない規模なので、広域の集客が期待されていたのですが、駅から離れた現在の敷地では市外からの集客は難しいでしょう。堺市が存在感を示す千載一遇のチャンスを逃したといえます。

 何度でも言いますが・・・・梅田北ヤードに音楽ホールを

 大阪府知事が北ヤードに関して「大阪市の所有する関西電力株を売却して土地を買い公園に・・・」という発言をされましたが、これはなかなかいい着目点です。膠着している梅田北ヤード開発を進めるために土地を購入し、その代わりにデベロッパーに音楽ホールを建設させればいいのです。
 サッカースタジアムとは違い公演内容によって多くの世代を呼び込むことが可能です。京阪神、関西全域からコンスタントに人を集めることも可能です。(来場者が周辺にお金を落としてくれるかというと・・・そう甘いモノでないですが)観光客の誘致にライブエンタテイメントを活用することは関経連も提言されています。ぜひご参照下さい。
 とにかく、最後の一等地に人の流れをつくれば色々なビジネスチャンスがうまれます。

                                        (2011年01月13日)

 さすがにサッカースタジアムの建設は見直しをされたようです。平松市長のご英断をたたえたいと思います。万博のエキスポランド後へのガンバ大阪のスタジアム建設が推進されることを強く期待します。毎年少しぐらいなら寄附しようという気持ちを持つサポーターも多いと思います。

表 全国の公立文化施設大ホールの座席数が1,500席以上のもの


■ガラパゴス化していなイカ?日本のスイーツ

 韓国のスイーツ事情

 私が実際にソウルに通っていたのは1988年のオリンピック前後でしたから、最近はかなり事情が変わっていると思いますが、いくつかのブロガーの方のレポートを見ていて韓国のスイーツは日本とは似ているようで違うなあと思います。特にここ数年のデパ地下スイーツブーム、コンビニスイーツブームで妙にローカルな進化が進んでいるので余計にそう感じるのかも知れません。


 韓国ではケーキ屋さんというより「インストアベーカリー」でケーキ類が提供されることが多いようです。一般的に見た目や味が今ひとつという評価も多いようですが、百貨店の地下ではかなり水準の高いケーキが提供されているようです。コンビニや街のケーキ屋さんが日本ほどkぽだわったケーキ類、スイーツを提供していないという事なのだと思います。市場の広がりがないという事が言えます。

 昔からデコレーションケーキはホールで購入する習慣があるようで、みんなで箸でつついて食べる・・・・という事例が報告されています食習慣は文化と深く結びついています。文化交流が進むみ表面的には日本人の好みに近く見える韓国でさえ、これだけ違います。ソウルの百貨店の課長さんをご案内したときも「豚のスープ」の匂いが駄目とラーメンには抵抗を示されました。(韓国のスープは牛肉でとります)日本に住む人とはまた違った好みがあるのだと思います。

 甘くないスイーツ?

 アメリカがルーツのミスタードーナツのドーナツもアメリカ人の女の子の評価では甘くなく、美味しくないそうです。クリスピークリームドーナツとか、シナボンとかやたら甘い洋菓子は一時的に話題を呼びますが日本では定着しません。
 本場ヨーロッパで修行したパティシエのお店が話題になっていますが、日本国内でのレシピはかなり変えているのだと思います。「生クリーム」とおう鮮度管理が要求される素材を中心にした日本の洋生菓子は、職人の技術と共にそれを支える密度の高い日本の市場、日本の流通システムが無い限り「商品化」できないものなのでしょう。

 将来的に中国や海外へ輸出するとしたらコールドチェーンなどの流通システムが整った流通ルートに冷凍の形で乗せていくしかないでしょう。その際、あの繊細な飾り付けは犠牲にせざるを得ないかも知れません。

 クールジャパンの一環としてスイーツをグローバル化するためには商品単体ではなく、人材育成を含めたシステムを売っていく発想が必要になります。

                                                 (2011年01月12日)

■「若者市場」は色褪せたのか?

 本当は内向きになっていない日本の若者

 よくある報道ではハーバード大学へのい留学生が僅か1人であることを事例に、日本の若者は他国に比べて海外へ出る意欲が低く「内向きである」といわれています。

 実際は北米への留学者数は減っているモノの、97年に比べても20%増と決して留学者数は減っていないといいます。(リクルートエージェント キャリアに関するデータの真相より〜

http://www.r-agent.co.jp/kyujin/knowhow/tatsujin/20101118.html へのリンク

 いくつかの新聞記事では「内向き志向」が進んでいるという前提で集められた取材記事が掲載されていますが、これはいったいどういうことでしょうか?取材者が意図的にストーリーに沿った「声」を集めている・・・という事なのでしょうか?

 現代の「若者」を語るときにある種の先入観を持った決めつけが行われている、と言う傾向は確かに否定できないモノがあります。

 若者市場の衰退について

 若者市場のボリュームが縮小しているだけでなく、が車にお金を使わない、お酒を飲まないなど消費行動がシュリンクしていることについて分析されたレポートがいくつか発表されています。

その内容については後日整理してまとめたいと思いますが、消費意欲は決して減退しているわけではないようdせす。親と同居している若者の支出は決して縮小しているわけではないのですが、20代の世帯の世帯年収が低くなってきていて、消費よりは貯蓄に回っているようです。生活不安が消費を抑制しています。

 団塊世代の大量退職で労働力人口が減少するので雇用機会は増えるはずでしたが、新卒者の就職率の低下が社会問題になっているのはどういうことでしょうか?
 ひとつには、年金支給時期が65歳に引き上げられたことを背景に、企業が65歳まで雇用を延長している事が指摘されています。2012年にはその世代が本当にリタイアするのでこんどこそ求人が増えるはずと言う見方があります。

 ただし、団塊世代は「集団就職世代」でもあります。進学率が高まり「大卒者」が増えたことに雇用のミスマッチがあります。多くの大卒者はみんなが名前を知っている大企業を志望しています。中卒の労働者が担っていた業務での求人があっても応募することはまずありません。

 就活についてはWEBサイトでの求人や採用が、一部の企業に新卒者が集中する原因にもなっています。

 「内定率が低い」という心理的プレッシャーが大学生の消費(レジャー・文化)にも悪影響があるように思います。

 若者論については「俗流若者批判」「俗流若者批判への批判」など多くの議論があります。若者市場というのは商業施設にとっても生命線であるので少しじっくりと考えておきたいと思います。新聞の見出しだけで判断するのは危険であることは確かです。

                                         (2011年01月11日)


 昨年ご紹介した岸和田の会員制ホールクラブ「WR」が1月4日に事業停止しました。アウトレットモールが巨大化した今、ブランド品が安く買えると言うだけでは会員はあつまらなかったのですね。




■梅田地区内のゾーン間競争が始まる〜チャスカ茶屋町のMARUZEN&ジュンク堂書店

 富国生命ビル改築(2010年10月)は地下街の印象を変える

 昨年改築された富国生命ビル(生保で名前が変わる会社が多いので昔ながらの社名に安心しますね)は地味ですが。久しぶりの海外有名建築家の「作品」でもあり、梅田の交通の要所にいい感じの環境を作っています。
 梅田地下街とつながった地下の飲食店、かつては地味で大衆的なものであったのですが、かなり印象が変わっています。梅田地下街もこのレベルのモノと比べて見劣りしないような対策が必要です。

 大学関連のテナントが入居している点など、阪急のオフィスタワーの完成とあわせて梅田の東地区に静かなインパクトを与えることでしょう。商業開発の開業は派手でわかりやすいのですが、街を変えていくのは基本的に毎日行き来する学校やオフィスの人の流れの変化が重要です。

 今年春のJR大阪駅の商業開発が注目されていますが、広域梅田のゾーン別の競争がどうなっていくか、住宅やオフィ、学校の人の流れをあわせて考える必要があります。

 茶屋町はどう変わるか

 梅田の東地区、茶屋町周辺は積極的に投資していたデベロッパーの破綻もあり開発が中断していました。昨年12月に「チャスカ茶屋町」にようやく商業テナントが入居しました。「MARUZEN&ジュンク堂」が大規模書店を出店したのです。観察では出足は好調のようです。ジャンク堂は西梅田地区にも出店しています。客層が重ならないという判断なのでしょうね。

 富国生命ビルだけでなく阪急梅田駅の西側にもサテライトキャンパスがあります。中之島のオフィス街を背景とした「西梅田」に対して梅田の東地区は違った個性を持つ街になっていくのでしょうか?

 2005年の調査ではミナミのアメリカ村に近い客層であることが判明しています。その後のNU茶屋町の開業や、タワーマンションの建設などでどのような変化が起きているのか注目されます。

 JR大阪駅の施設もとても魅力的ですが、それぞれのゾーンの特徴を強く打ち出さないと同質化競争では梅田の集積規模の効果は発揮されないでしょう。

 その意味でも、中之島〜西梅田、梅田東地区の今後の変化に目が離せないと考えています。

                                              (2011年01月07日)
図ー梅田周辺の街イメージ(なにわ考現学2005)※NU茶屋町開業前



■「食」の事業化の課題〜グルーポン「おせち騒動」から考える

 簡単に参入できそうで、本当は怖い食ビジネス

 最近のテレビに出る「イタリアンのカリスマシェフ」はカラオケ屋の料理人出身のかたです。B級グルメやカリスマ主婦のアイデァ料理がもてはやされる時代ですから、それはそれでいいのですが、あたかも美食の権威者のように持ち上げるマスコミの扱いは、首をかしげざるを得ません。

 食の世界は身近なものなので簡単に参入できるビジネスに思えますが、生業として小さなビジネスを行うのはいのですが事業として展開するのには大きな壁があります。

 お正月早々話題になった共同購入クーポンでおせちを販売した「カフェ」のトラブル。見本と比べて極めて貧弱な内容だったとか、1日に届かなかったとか、腐っていたとかいう・・・のはその教訓を教えてくれます。

 http://www.geocities.jp/gurupon7/ へのリンク

トラブルの原因は次の3つ

・500セットのおせちの調理詰め合わせが予想以上に大変であったこと
・年末のおせちの食材の価格高騰、品薄について無知であったこと
・産業としての食品製造の品質管理、作業環境が整っていなかったこと〜バイト感覚

「カフェ」めしを店舗で提供する分には素人に毛が生えた程度でも対応できますが。短期間に大量の食品を製造販売するにはそれなりのノウハウが必要になります。
 本当の老舗料亭や有名レストランでもおせちは限られた顧客のためにごく少数しか受注しません。百貨店やコンビニで売っているのはお店で職人さんが作っているモノではなく、食品メーカーが早い時期に作ってレトルトや冷凍で保存しているものです。・・・今回そのことにあらためて気づいた人もいるでしょうね。

また共同購入クーポンという仕組みに対する不信感も広まっています。WEBサイトで募集し、人数が集まればお得な割引クーポンが購入できるという仕組み。前払いでお金が入ってくるお店にとってはありがたい仕組みですが、クーポンの価格がもともとの価格=割引になっていないという「価格設定への不信」が持たれています。また、クーポン販売後お店が倒産して使えなくなるという取り込み詐欺のリスクも顕在化しています。

 まあ、本当に美味しい店は、顧客が離れるクーポン販促は行わないのですが、「お得感」にだまされる人も多いのでしょう。

 地方発の食の「事業」のジレンマ

 創業以来、地方に埋もれた本当に美味しいモノを掘り起こしたいという事業の「企画書」を考えているのですが、〜自分が美味いものを食べたいだけなのですが〜共感してくれる人は多いのですが具体化はなかなか難しいものがあります。
 大量に流通できないのでビジネスのラインに乗りにくいのと、地方のメーカーと話をしても「流通コスト」に対する不信感があって商談にならないのです。5〜10%のマージンでは責任を持って仲介できないのです。

 最近食品スーパーに地方の無名メーカーのお菓子が流通し始めていますが、その多くは有名商品をまねたものでしかも質の割に高い・・・・地方発のヒット商品は沢山あるのですが(ラスクやルタオのチーズケーキなど)なかなか2匹目のどじょうはいないようです。


 一時に大量に流通させようとするとやはり「無理」があるので少しずつファン層を拡げていくしかないのだとおもいます。ある時期に一気にひろめる時には「食品産業」しての生産体制を整える必要があります。農商工連携の補助金もありますからそれを活用すればいいと思います。

 楽天などのネット販売は、安く、大量に販売することが求められますから。、体制が整わないうちは出店は見合わせたほうがいいと思います。生産余力がある企業が出店すべきだと思います。

                                             (2011年1月6日)
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