株式会社ANALOG 市場調査から戦略構築まで現場をサポートするマイクロシンクタンク
エリアマーケティング・商業開発・まちづくり
(sano@analog-corp.com) |
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| ■2011年前半の大阪の変化 |
来年オープンするショッピングセンターは大都市に集中しています。
東京では3月に「二子玉川ライズショッピングセンター」、大町の「阪急大井町ガーデンズ」、九州博多の「JR博多シティ」と注目されるプロジェクトの開業が続きます。郊外でのSC開発にブレーキがかかってきたようです。
大阪でも3月から5月にかけて主要ターミナルで大型案件が開業します。関西がどのように変化していくか、引き続き観測を継続していきます。今までに厳しい指摘もしてきましたが、完成したモノについてはできるだけ成功して関西を盛り上げる起爆剤になって欲しいと願っています。
今年は大変お世話になりました。来年も又よろしくお願いいたします。
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(商業施設開業予定)
・3月 大丸梅田店増床オープン(6.4万uに)
・4月末 あべのキューズタウン(6.9万u)東急ハンズ、イトーヨカドー、109等
・5月 JR大阪駅北ビル 「ルクア」(2万u)「JR大阪三越伊勢丹」(5万u)
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| ■「今後発展してさらに暮らしやすくなりそうだと思う街」のキャッチフレーズ |
メジャーセブン(大手不動産デベロッパー)のマンショントレンド調査
興味がある方はこちらを
http://www.major7.net/pdf/trendlabo/research/013.pdf へのリンク
このアンケート調査の中で「今後発展してさらに暮らしやすくなる街」を問う項目があります。マンションなので都心ばかりではありません。おそらく会員社の抱える大型物件のある地域なのでしょうが・・・・設問項目につけられた各エリアのキャッチフレーズをみていくと、東京、大阪周辺の街で何が起きているかを一覧できるような気がします。
正直、関西に居住していても高槻や摂津で何が変わりかけているかまでは把握していないからです。
調査結果は上記リンク先でご覧下さい。調査項目キャッチフレーズをご紹介します。
(東京) 東京スカイツリーの建設が進む押上、墨田周辺エリア
駅前大規模再開発、商業ビルがオープンした二子玉川周辺エリア
再開発、商業ビルのオープンが続く五反田、大崎、品川周辺エリア
高層マンション群の建設が進む武蔵小杉周辺エリア
ららぽーとがオープン、マンション建設が続く豊洲周辺エリア
表参道ヒルズのある青山周辺エリア
IKEAなど商業施設の多数ある横浜港北周辺エリア
ラゾーナ川崎プラザのある川崎周辺エリア
駅前再開発やマンション建設が進む有明周辺エリア
駅前タワーマンションの建設が進む勝どき周辺エリア
コレットマーレのあるみなとみらい周辺エリア
TX開通以来開発の進む柏の葉、おおたかの森周辺エリア
駅前再開発の進む浦安周辺エリア
新丸ビル、ブリックスクエアのある丸の内周辺エリア
六本木ヒルズ、六本木ミッドタウンのある六本木周辺エリア
再開発、商業ビルのオープンが続く立川エリア
エソラ、エチカのある池袋周辺エリア
LABI(ヤマダ電機)が新規オープンした新宿周辺エリア
秋葉原トリム、ヨドバシカメラのある秋葉原周辺エリア
新しく政令指定都市となった相模原周辺エリア
(大阪) 西宮ガーデンズのある西宮北口駅周辺エリア
百貨店や高層マンションの建設が進む大阪・梅田エリア
交通の便がよく、駅前再開発も進む千里中央周辺エリア
「水都OSAKA水辺のまち再生プロジェクト」として街づくりが進む中之島周辺エリア
阿倍野駅周辺の大型再開発が進む天王寺エリア
イオンモールKYOTOやヨドバシカメラのオープンなど、再開発が進む京都駅周辺エリア
神戸三田プレミアムアウトレット・イオンモールのある神戸市北区・三田市エリア
条例で景観を守りつつ、新規商業施設の建設が進む四条周辺エリア
上本町YUFURAがオープンする上本町エリア
新規医療施設、キャンパス開設など多様な世代に対応した再開発を進める高槻周辺エリア
旭通4丁目再開発を中心とした再開発が進む三宮周辺エリア
なんばパークスがあり、緑と大型商業施設の共存する環境の難波周辺エリア
COCOEやコストコがオープンした尼崎周辺エリア
キッザニア甲子園のある甲子園周辺エリア
新大阪駅の増築と共に新大阪阪急ビル(仮称)の開発が進む新大阪周辺エリア
新駅開業や大型マンション建設など、街づくりが進む阪急摂津市駅前エリア
駅前に市立病院直結の大型タワーマンション建設が進む久宝寺周辺エリア
駅前再開発による商業施設、病院、マンションの建設が進む香里園周辺エリア
プリエ姫路のある姫路周辺エリア
固いことをいうとこのキャッチフレーズの付け方一つでアンケートの結果が変わってしまうのですが・・・。
(2010年12月24日) |
| ■オフィス街の書店のニーズは若い世代で高い〜国内最大の書店が茶屋町に誕生 |
梅田茶屋町東急ホテル跡地の「チャスカ茶屋町」に「MARUZEN&ジュンク堂書店」が22日に開業
ロケーションがターミナルから外れているのが微妙ですが国内最大級はすごいですね。安藤忠雄設計の複合商業ビルで下層階のテナントがなかなかきまらなかったのですが、折角の作品がさらしものにならなくて本当に良かったですね。
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101213/biz1012132023022-n1.htm
へのリンク
HMVやタワーレコードなどのCDの販売店はダウンロードが主流になったので一時の勢いはありません。本については電子書籍の普及という大きな転換期を迎えていますが、まだまだ書店での沢山の本の一覧性の楽しみは残っているようです。当社の調べでも若い人ほど、本屋さんが少ないオフィス街での本屋さんの充実を求めています。
オフィス街での書店の充実は何故進まないか?
大阪のオフィス街立地の書店と言えば、本町国際センタービルの紀伊国屋書店は優れています。堂島のジュンク堂もゆっくりと本が探せます。その他の地域では下記のようにニーズがあるにもかかわらず、規模の小さい書店が多いです。当社最寄りの淀屋橋界隈も書店過疎地です。駅の「ブックファースト」は規模が小さく混み合っていますし、オドナのB書店はオーナーさんが右翼のパトロンであるようで、その趣味なのか、品揃えが偏ってしまい捜し物が見つからないことが多いです(辛抱さんの本がいつまでも、売れ残りを集めたようにように山積みですし)。戦記物が揃っているのは趣味としては面白いのですが・・・・。あまり本好きの人向けの店ではないようです。(この店は建物の構造が本屋さん対応になっていないので万引きが多そうで心配です・・・というか本を持って移動すると疑われそうで、売場の構造が何だか居心地の悪い店です)
最近の一般書店でも販促物の展示場の観が強いので、サンプリングが主目的かと見えるおまけ付きの女性誌、政治宣伝ビラを店頭に露出させる事が目的のオピニオン誌が幅をきかしています。
(プロモーションの場として注目されているという事はそれだけ人が集まるという実績があるのでしょう)
結局プロモーションのうるささをがいやであれば、旧来の小さな書店を選ぶか、アマゾンで注文した方が話が早しということになります。
大型書店の開業・・・茶屋町はいいのですがわざわざ出かけるのは面倒。ニーズがあるので大型書店をどこかに設置して下さい。(中之島周辺の大型開発でデベロッパーさんが堂島の大型書店に、立地として可能性があるかどうか訪ねたそうです。答えはNO・・・・そりゃそうですよね自店商圏とバッティングしお客さんをとられるのですから・・・)
書店の賃料負担額は事務所程度です。繁華街の商業ビルとしては物足りなくても、オフィス街の低層部であれば満足できる賃料収入は確保できますよ・・・。その他の文化機能との相性もいいことですし。(と某社にさりげなくお願いしてみる・・・・・設計の段階で書店を意識した区画割りが必要ですよ)
(2010年12月22日) |
図ー勤務地周辺の書店の利用とニーズ

(なにわ考現学2010)
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| ■優勝セールで盛り上がる名古屋の大型小売店 |
サッカーよりも野球が中高年を掴む?
10月2日からの中日ドラゴンズ優勝セール、11月8日からの日本シリーズ感謝セール、11月21日からの「名古屋グランパス優勝セール」を含む延べ2週間のセール期間中、名古屋の大型店では売上、集客とも2ケタ増の店が続出したということです。
地元百貨店の松坂屋では各セールで3億円の売上増を見込み、グランパス優勝セール以外は達成したそうです。野球ファンは百貨店の主力客層である中高年やファミリーが多く客層が重なるので効果的だったのでしょう。サッカーに比べるとファン層に拡がりがあるのでしょうね。
関西でもガンバ大阪がアジアチャンピオンになるよりも阪神タイガースが連勝する方が盛り上がる人達が多いように感じます。
百貨店以外の商業施設でも名古屋パルコでは既存客層以外の来店が増えたそうです。地域密着度が高いチームなので、「一緒に祝って何か得したい」という地域の住民のテンションの盛り上がりが街全体を活性化させたのかもしれません。名古屋のある種の閉鎖性が逆に地域限定の熱い盛り上がりにつながったのでしょうね。
(2010年12月21日)
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| ■「楽しんで参加する」仕組みを作ることで質の高いサービスを確保する |
NPOだから安く仕事が頼めると考える大いなる誤解
NPO団体の方とお話をしていると、良くある外部の人の勘違いに「NPO団体だから利益を追求しないはずなので、安く仕事が頼める」とか「NPOだから報酬はいらないだろう」という誤解です。そういう人は最初から「利用してやろう」という下心があからさまなので対応していて嫌になるそうです。・・・特定非営利活動法人の「非営利」という言葉が誤解を招くのでしょうね。
ただ、一般的に人は「使命感を持ってやれること」「楽しんでやること」について報酬の多寡、コストパフォーマンスにとらわれずに熱心に活動するという特性があります。NPOに参加しているメンバーは社会的な使命感を持って参加する人が多いのでその面では提供される「労役」の質は提供される報酬以上に高いことが多いのです。
そのような人の特性をうまくビジネスに活かしている事例があります。
「顧客」を地域観光のナビゲーターに育てる「元気なおやじ倶楽部」という仕組み
近畿日本ツーリストなどが中心となり、経済産業省の平成19年度の「サービス産業生産性向上支援調査委託費(ビジネス性実証支援事業(観光・集客サービス分野))」賭して採択された「元気なおやじ倶楽部」というプロジェクトがあります。
都市のシニア対象の倶楽部組織により、体験型観光の着地型事業者を育成する事業
シニアが田舎を楽しむための倶楽部組織を構築し、顧客であるシニアを着地型事業者として育成する循環システムの
全国展開を目指す。
http://www.meti.go.jp/press/20070531002/service-p.r.pdf へのリンク
私が最初にこの仕組みを知ったのは、和歌山の観光振興のために、京阪神の中高年男性がアウトドアライフを楽しんだ上で、そのインストラクターとして次に参加する人を教える・・・というプロジェクトでした。和歌山は海があり山があり川もあるのでさまざまなアウトドア活動が楽しめます。京阪神からも近いのでリピーターを確保しやすいのでしょう。このコンソーシアムに参加している企業が女性向けに行っている「新家元システム」というのも興味深いものです。
「楽習フォーラム」という新しい家元制度
カルチャーセンターでは講師と生徒ははっきり分かれています。茶道や華道などは昔からの家元制度があって師範代や師範へのステップアップができますが一般の習い事ではそこまでシステム化された事例はありません。
百貨店の催事で手工芸品や手工芸の材料を販売している企業が教室を開いて技能認定、参加者が資格を取って講師になる「楽習フォーラム」という仕組みがあります。
http://www.gakusyu-forum.net/ へのリンク
女性の好きそうな、細々とした飾りは年代を問わずにファンが多いように思えます。「楽しいことが仕事になる」というコンセプトが面白かったので、南港のATCエイジレスセンターで講演をしていただいたことがあります。
講座を受講して資格をとった講師は自分で教室を開いて「材料」を定期的に購入販売してくれます。またできあがった作品も、展示販売イベントに出展してくれます。・・・ひとつ間違うと犯罪すれすれのアムウェイのようなネットワーク販売になってしまうそうですが、微妙にそれは回避されているようでした。作品は伊勢丹で展示即売会が行われていますし、文部科学省のお墨付きをもらうなど、信用、権威づけには細心の注意が払われているように感じました。
何よりも感銘を受けたのは「モノ」を売るために「講座」を事業として行い、「楽しんでもらっている」事です。「喜んで参加する仕組み」を創れば「商品」は流れていくと言うことです。
(2010年12月20日)
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| ■「ゲームセンターでメダルゲームにはまるシニア」という風景の先には |
街にあふれる高齢者の落ち着ける居場所は?
最近のNHKのニュースでも弁当持参で1日中メダルゲームに興じる高齢者の姿が紹介されていました。高齢者のゲームセンター利用はこれからの社会の変化を示す「トレンド」なのでしょうか?
シニアマーケティングを研究してきた立場で考えると「、これは朝のハンバーガーショップに高齢者が多いというのと同じ次元の、時間が沢山ある元気な高齢者が待ちにあふれてきている現象のあらわれだと考えています。
メダル落としはパチンコに比べて少ない金額で長く遊べます。ゲームセンターに交流を求めて訪れるという「分析」もありましたが、今までにもある「街の中のひまつぶし」として利用されているだけです。下図にあるようにむしろ「カラオケ」の方が高齢者にも好まれています。
ゲームの中には中毒性の高いものがるので習慣になっているのと、、過去にはパチンコで遊んでいた高齢者がパチンコ、パチスロの変化についていけなくなったということでしょう。
高齢者の暇つぶしという側面ではアメリカ映画に出てくる、先住民居留地に設置されているしょぼい「カジノ」で遊ぶ地元の高齢者や、お金をかけたビンゴゲームに興じる閑そうな年金生活者の姿がダブルかも知れませんが、換金性はないので「「カジノ好き」「ギャンブル好き」の高齢者が増えたということではありません。マクドナルドに高齢者がたむろするのと同じミスマッチが「絵になるニュース」として取り上げられているのにすぎません。
「新しいトレンド」と勘違いして高齢者向けのゲームセンターに投資してはいけませんよ。(何年か前に、50才以下お断りの店が大阪でも話題になりましたがその後、噂はぱったりと途絶えています)
シニア女性を掴む「時間消費型レジャー」は
圧倒的に多いのは「旅行」ですが、その次には「ウィーキング」「園芸庭いじり」などのアウトドア系のレジャー活動率が高いのです。都市型、施設対応型でいえば「外食」「カラオケ」が群を抜いています。交流したい、時間を楽しみたいニーズを開拓するのもこのあたりの機能を軸に拡げていくのが本筋です。
テレビのニュースや新聞の報道は「面白い」「絵になる」映像を優先します。「日経新聞の記事」「ニュース」から、「時代の先を行く事業」を構築するための「トレンド」を読み取ろうとしてはいけません。そこにあるのは、あくまでも話の種です。
(2010年12月17日)
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図ー性別年代別の活動率

(レジャー白書2009)
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| ■パルコのコミュニティ型店舗の好調 |
パルコ既存店舗業態革新の2つの方向性
今年の夏に発表された中期経営計画では既存店舗につおいては「都心店舗」と「コミュニティ型店舗」のい2つに分類し、「それぞれのターゲット客層に向けて商品構成や運営手法を最適化する」という方針が示されています。
京阪神では唯一の店舗である心斎橋パルコ(18.6億円)はビルオーナーの建て替えにともない新しいビルで規模を半減して新しい業態で2013年に再開店します。京阪神地区は新規出店対象エリアとしてプライオリティが高いのですが、今のところ具体的な出店予定は公表されていません。(梅田北ヤードでは何度か名前が挙がりましたが・・・)福岡の成功で味を占めた百貨店撤退後のコンバージョンを視野にいれているのかもしれません。
コミュニティ型店舗に注目
(同社プレスリリースより)
近隣商圏の生活者に良質な日常を提供する店舗業態
〔立地〕 東京近郊駅前立地、地方中核都市の商業地
〔商圏〕 近隣商圏
〔ターゲット〕 近隣商圏の全世代
〔商品構成〕 良質な日常をサポートするため、多機能、多目的な施設に変えていきます。
食品、雑貨、家電、スクール、スポーツなど、取り扱う業種を増やします。
〔テナント政策〕 各業種を代表する企業、これまで未取り組みの企業と取り組みます。
〔宣伝・販促〕 地域密着のイベントなど近隣からの集客を図ります。
http://www.parco.co.jp/group/pdf/file_100825a.pdf へのリンク
構造改革のモデルになる浦和パルコは11月に全ファッションフロアが増収を確保したそうです。関東グループ(東京の郊外店)各店は集約力や来店頻度の向上が見込める「大型専門店」「スーパーマーケット」「手芸洋品店」「化粧品店」を誘致ししています。従来のファッションビルの機能を残しているということですので、その組み合わせ方を一度きちんと確認しておく必要がありそうです。
主な導入テナント
・調布パルコ「ユニクロ」、「ノジマ」(家電)、「北野エース」(食品)
・新所沢パルコ「おかしのまちおか」
・浦和パルコ「好日山荘」「ユザワヤ」〜高齢者など既存以外の客層の来店促進にもつながったそうです
・津田沼パルコ「ジーユー」
カード会員の1ヶ月あたりの平均買い上げ頻度が2回弱に高まり、滞留時間も40分と平均より10分伸びたそうです。(繊研新聞12月15日)
将来的には「幼児教室」「託児所」などのサービス関連やリラクゼーション施設の導入も検討との事です
地方中核都市の商業を考えるときに、郊外の大型モールとの競合でファッション性で特化する必要があるのですが、日常的な機能の導入が同時に必要なのでパルコの地域密着型店舗の展開には注目しておきたいところです。
(2010年12月15日)
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| ■ものづくりの街の集客装置〜石切セイリュウの変身 |
サンバで有名だったホテルセイリュウ2003年に倒産の後
大阪の場末の映画館の広告で良く見たホテルセイリュウが2003年に倒産していたことを最近知りました。黒川紀章設計の温泉ホテルで、生駒山上で夜景の綺麗な東大阪の中小企業主の迎賓館と言った感じのホテルでした。ブラジルから呼んだサンバのダンサーが有名で、ここのラウンジでタニマチに接待されているオール巨人さんを見たことがあります。前の経営者はブラジルとの交流に熱心で、羽振りのいいときは大阪市内鰻谷にもでかい迎賓館のような店がありました。
東大阪の特性を生かした集客
東大阪市と言えば大阪府下では大阪市、堺市に続く巨大な都市です。中小工場が密集していてものづくりの街として知られています。(人工衛星を打ち上げたりしていますよね)とはいえ規模の割に街のイメージは希薄です。
大阪の東、難波から近鉄で20分の好立地で、大阪は勿論、京都、奈良にもアクセスがよいのが特徴です。倒産した後に元従業員達がつくった新会社が再生をあけたのは就学旅行客の誘致です。一般客の他に年間5,000人の修学旅行客を受け入れています。
ただ奈良や大阪へ送り出すだけでは地元東大阪にはメリットがないので、地域のモノヅクリ資源に着目し、2007年には“モノづくり観光”のキーワードで修学旅行誘致のための事業を構築。おおさか地域創造ファンド(大阪中河内地域活性化推進協議会)の助成対象事業に認定されています(M−1プロジェクト)
近年の修学旅行は周遊というより体験型の旅行が増えています。神戸市長田区の震災復興商店街体験や大阪の市場の商い体験なども有名になっています。ホテルが主体となり工場見学などの企業を開拓、し成果を上げているようです。
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2010fy01/0020336.pdf へのリンク
食品とかビールメーカーなど消費財のメーカーであれば工場見学に宣伝効果がありますが、BtoBが多いと思われる中小企業で修学旅行の生徒に見せて理解してもらおうという企業がでてきたり、生徒さんの方でも見てみたい、体感してみたいというニーズが生まれるということはとても面白い現象です。
神戸ハーバーランドでクルーズの目玉が自衛隊の潜水艦をを建造しているドックであったり、名古屋市での集約施設の2位が地元企業のミュージアム(1位はもちろん名古屋城)であったりするのがとても面白い傾向です。確かに見てみたい・・・。見てもらい、体験してもらうことはそこで働く人、住んでいる人の誇りにもつながります。
(2010年12月15日)
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| ■東北新幹線青森開業にみる都市のつながり方の戦略 |
12月4日の全線開通日は強風にもかかわらず46%増の乗客が・・・
開通前に比べて大きく伸びたのですが、乗車人数は8,600人、、乗車率は30%だったそうです。初日の開業景気がすぎた平日はまた前年並みに戻ったと地元の人は寂しそうです。年末年始の予約は既に満席だそうですし、地元紙の報道では各観光地の利用者数が増えてきているとの実感もあるようなので、これからのスキーシーズンや春夏の観光シーズンの人の動きに期待が集まっています。
青森市内のホテル旅館業界は、今のところ大きな変化がないもよう。「個人客の予約は増えているが、抜群に稼働率が上がっている状況ではない」(浅虫)、「売り上げは横ばい」(酸ケ湯)と口をそろえ、県内の観光シーズンが本格化する春以降に望みをつなぐ。
JR弘前駅によると、1〜8日の青森―弘前間の列車利用客数は上下線とも4万人弱と前年同期と比べ21%増加、下りでは同23%増となった。同駅内の弘前市観光案内所は利用者数が同3、4割増(4〜7日)で推移。市りんご公園の利用者数も5日が80人(前年比約2・7倍)、6日は61人(同約2・4倍)と大幅に伸びた。
弘前観光コンベンション協会の今井二三夫専務理事は「全線開業で15%の入り込み増を予想したが、それを上回った。広域で観光している」と分析した。(陸奥新報12月11日)
東京〜青森駅の所要時間は現在3時間20分。来年3月の新型車両導入で3時間10分に圧縮されます。
とりあえずつながったあとの「目的」の創出
首都圏には東北出身者も多いので、また感覚が違うのでしょうが、青森と東京の間を移動する目的があまり見えません。青森については市内でしか仕事をしていなかったので認識が無かったのですが、魅力的な観光資源もあり「観光客」の誘致には色々な対策が考えられます。平日の昼間の移動目的をどう作るのか?そのあたりがポイントになると考えます。市場規模の違いから東京から青森へのビジネス目的での移動はそう多くないでしょう。青森から東京へのビジネス移動(東京市場相手の事業創出)や青森出身の首都圏の団塊世代(集団就職世代です)のふるさと回帰サポートなどの事業により移動目的を創っていく努力がもとめられます。
伊沢八郎の「ああ上野駅」は1964年。リリース。首都圏の団塊世代の多くは「ビートルズ世代」といった広告代理店的なキャッチフレーズのライフスタイルは虚構で実態は中卒で就職しに上京してきた「集団就職世代」です。東北弁を使うことを学校で禁じられ東京人に同化することを求められた時代を経て、(関西人にはわからないのですが)故郷には屈折した愛憎があるのかも知れません。
九州新幹線については関西と九州のポテンシャルの差が東京とと森ほど大きくなく、かつ九州内や広島、岡山とのつながりなど多様なルートが描けるのでつながることで生まれる波及効果は大きいと見ています。
鉄道がつながる事の効果
神戸市は中国人観光客のゴールデンルートからはずれて観光客誘致に苦戦していましたが、ここに来て韓国からの観光客誘致に自信を深めているようです。現在の中国人の団体客とはニーズが違いますしね。
http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0003668180.shtml へのリンク
記事にはないですが、神戸に宿泊したときに阪神なんば線で奈良につながっているということもプラスに働いていると思います。買い物だけでなく日本独自の文化を楽しみたいというニーズは日本になれてきた外国人観光客では高くなっているからです。
京阪中之島線について活性化のアプローチはもっといっぱいあるはずなのですが、関西財界が切望してきた路線の割に活用のアイデアが乏しいように感じます。頑張って下さいね。
(2010年12月14日)
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| ■名古屋〜東海地方の元気は東京都なみ? |
東海地方の元気の自負心は東京都区部並み
内閣府の地域再生調査の結果を見ると「住んでいる地域は元気があるか」という問いへの回答率は東海地方では6割が元気があると回答しており全国一です。これは東京都区部での回答と肩を並べています。2009年の調査ですからリーマンショック以後の回答です。他には関東、九州、東山(長野、山梨、岐阜)などが高く、北海道中四国、北陸、近畿では「元気がない」というという評価が高くなっています。
地域別のサンプル数は多くないですし、一般生活者への調査なのでのであくまでもイメージ的なものですが、今年の名古屋は中日ドラゴンズや名古屋グランパスが活躍するな話題が多く、女子フィギュアでも女子の代表は愛知出身など街の元気を象徴する流れがあります。
人口は増えているが余暇を楽しむ場所は少ない
東海地方で元気がないと答えた人は、その「理由」として「美術館など余暇を楽しむ場所が少ない」と答えた人の割合が他地域に比べて多くなっています。人口は減っていませんが商店街などの賑わいが薄れているのは他の地域と同様です。名古屋への一極集中が進んでいるのでしょうか?
また名古屋市内でも名古屋駅前の摩天楼計画など高層ビルへの集中が見込まれます。
名古屋駅前再開発に伴い企業の移転があいつぎ、名古屋中区の東急インが閉店するそうです。集中する時は一斉に集中するのですね。面白い特性のある街です。
(2010年12月13日)
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図ー住んでいる地域は元気があるか(都市規模別)

図ー住んでいる地域は元気があるか(地域別)

図ー元気がない理由(地域別)

(内閣府特別世論調査 地域再生に関する調査2009年)
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| ■買い物弱者対策〜地方の事例から都市の買い物弱者対策を考える |
買い物弱者は600万人(2005年)にまで増加
経済産業省の推計では日常の買い物について近くで買い物が出来ない買い物弱者の数が2001年の350万人から、2005年度には650万人にまで拡大していると報告されています。自動車での来店を前提とする大型スーパーが増加し、高齢者が利用しやすい徒歩圏の商店が衰退していること、地方では集落の人口が減少して商店の経営が成り立たないことがその背景にあります。高齢者の運転免許の自主返納の動きや若者の免許取得率の減少も買い物弱者を増大させる要因として指摘されています。
店舗の売上げの減少と通販の伸びから流通業の根本的な変化につながる可能性が指摘されています。
対策としては流通業の高度化、自治体との連携協力、NPOや自治会での互助など様々な工夫によって改善と提起され、先進的な事例がまとめられています。
先進事例
@客が来られる店へ、客に届く店へ
・全日本食品「シティマーケット」(茨城県つくば市)
運営コストを下げて小商圏でも成立する小型スーパー(300〜500u)を展開
・地元農家と商店が連携し半径300mの「徒歩圏内マーケット」を開設(熊本県荒尾市)〜生鮮食品が提供され好評
・街全体でお買い物バスを運営(茨城県土浦市)
・タクシーで荷物だけでも配送(熊本県熊本市)地元タクシー会社が商店街で買い物した商品の配送を行う
A地域の他の産業と一緒に発展する店へ
・農業者や地元の特産品と連携し観光を意識した複合商業施設を設置
北海道富良野市(農産物直売所、カフェ)、長野県飯田市(レストラン、和菓子ミュージアム)、山形県山形市(茶屋、ミ ュージアム)
B商店以外の生活に必要な機能を提供する拠点へ
・商店街の近くに高齢者専用賃貸住宅、交流施設、映画館の整備を行う(山形県鶴岡市)
・大型空き店舗をダウンサイジングし食品スーパー、NHK文化センター、診療所、屋上広場などの複合商業施設を整 備(山口県山口市)
C地域外の大手企業や人材の力も活用する事業へ
・地域の公共交通機関のICカードを利用して商店街のポイントカード、電子マネーを一体化」(香川県高松市)
・大手企業の電子マネーと連携
・ポイントカードの寄附収入でまちづくりの基金に(イオン〜島根県太田市など)
・大手のノウハウで寂れた店舗を復活(山崎パン〜広島県大崎下島)
地方では色々な取り組みが進んでいますね。紹介されているこれらの事例他にもコンビニと移動販売の連携とか、コンビニと新聞販売店の連携などで配達網を確保するなどの取り組みをも行われています。
都市の買い物弱者
大阪市周辺でもエアポケットのように日常品の買い物が出来ない地域が沢山残っています。そんな地域の住民はコンビニとファーストフードでは栄養状態が著しく悪化するという報告はアメリカなどでも」報告されています。市内では最近は大手チェーンも食品スーパーに力をいれてきたので幾分改善傾向がみられます。むすろ用途指定が出店を制限する郊外のニュータウンほど深刻かも知れません。
高齢者が増えている現実を見ると、介護サービスを兼ねた宅配弁当が定着していくのかもしれません。現在の業者のメニューはまだまだプアなものが多いので、大手企業の仕入れ・物流ネットワークを活用すればコストを抑えてバラエティにとんだメニューを提供できる余地があります。人件費などの配送コストがネックになりますが廃棄ロスが無いのが大きいでしょう。
近鉄のMOMOの店舗では定休日に施設のお年寄りを招待して買い物を楽しでもらっていました。
郊外店の買い物ストレスはとても高いのです。地域の高齢者限定の送迎付きの招待イベントなどを続けていけば売上につながる可能性は高いでしょう・・・どうせ平日は閑なんですし・・・。
(2010年12月10日)
ファミリーマートが買い物弱者対策としてローコストの小型店舗を開発するそうです。また、コープ神戸が高齢者向けの宅配弁当事業に参入するという報道がありました。
http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0003658279.shtml へのリンク |
| ■コンビニが変える食文化〜お菓子業界の原価率と業態間競争 |
売上原価は概ね54%、原材料費は3割
事例に上げたモロゾフは自社ブランドで全国展開しています。寿スピリッツは各地方の土産物を生産している会社で、小樽のチーズケーキ「ルタオ」などを作っている店もグループ会社です。それぞれ業態は違うのですが、原材料費は約3割というポイントは共通しています。
ケーキなどの生菓子は売れ残りのロス率の改善が課題でしたが、冷凍技術が発達し多くのの商品が実態としては冷凍保存されたものです。生産の繁閑が平準化され、保存が利くようになっています。(これから販売が伸びるクリスマスケーキの多くはもうすでに制作されています)
自社で販売しているモロゾフの方が卸や通販が多い寿スピリッツよりも利益率が低いのは、旧来型の百貨店販売というチャネルに依存しているからです。デパ地下スイーツが話題になっていますが、メーカーとしては焼き菓子などの中元歳暮ギフトがとれないと生菓子では利益確保は難しいでしょう。原価率を落とすと格段に味が落ちますからコストダウンの余地が無くなります。
コンビニは洋菓子の新しい市場を開拓した・・・のかな?
下記のデータは少し古いので、今はもっと大きく変化しているはずです。コンビニで洋生菓子を購入しているのは20歳代の男女です。お店では1個単位の購入は難しいのですが、コンビニエンスストアでは気軽に購入可能です。
味については美味しいと思う人も多いようです。私には「洋生菓子もどき」でしかないように思われますが、テレビにでているような若いカリスマシェフは絶賛していたりします。
洋生菓子ではありませんが、お総菜の販売でもCVS(コンビニエンスストア)の売上シェアは圧倒的です。好むと好まざるに関わらず、コンビニエンスストアで提供される「食」「味覚」は無視できないでしょう。特に、高齢者の食卓が外部化する中でこの変化は若い世代だけの課題ではなく、日本の「食文化」に関わる問題です。
以前、ガス事業者の対電化厨房対策や生協のお手伝いをしていましたが、それぞれの競争相手は電力会社や大型スーパーではなく、コンビニエンスストアが代表する食の外部化、工業化なのだったのだなと思います。
(2010年12月9日)
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(有価証券報告書)
図−性別・年齢別洋生菓子購入率と購入先 N=2101 1998年調査

図ー惣菜の売上高シェア

(惣菜白書) |
| ■「シブヤ109アベノ」2011年4月に出店 |
阿倍野が若者の街に?
阿倍野再開発で整備される「あべのキューズタウン」に出店が発表されていた「シブヤ」109」(4,300u)の開店は4月だそうです。初年度45億円が目標。シブヤ09より若い客層をターゲットにするようです。ちなみに、東急不動産が管理する「あべのマーケットパークキューズモール」(69,000u)全体の売上げ目標は400億円です。東急ハンズ(2,500u)、イトーヨカードー、日本最大級のユニクロ(3,300u)などが入居します。
居酒屋「明治屋」などの地元地権者が入居する「ヴィアあべのウォーク」(8,100u)でも70店のショップがオープンします。路面電車が走りレトロな町並みが愛されてきた阿倍野天王寺ですが、意外に20代女性の利用率が高いのです。天王寺MIO、あべのHOOPが出来てからの傾向でしょうが・・・・・。
もともと高校生の多い街ですが、小林信彦氏に猥雑と評される渋谷のような若者の街に変貌を遂げるのでしょうか?
また、キタとミナミに対する第3極となるのでしょうか?基本商圏は5km圏。1,500台の駐車場、2,000台の駐輪場を整備します。阿倍野天王寺では自転車利用も多いのです。
(2010年12月8日)
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図ー過去1年間に利用した街

(なにわ考現学2005)
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| ■京都人が語るほど市内エリアの差は大きくない |
京都人は京都の排他性を誇りにしているようにも思える
京都市内では永きにわたって「都市居住」が継続しています。人の流動性も大阪や東京に比べてずっと少なく、住民同士お互いのことを知っている度合いが高い・・・・都市生活が成熟しているといえます。表面上はやわらかくても、余所者を受け入れることはあまりありません。(そのあたりは過剰にオープンマインドな大阪人とは随分違います)
京都人が良く語るのは「上」と「下」の違いで、お金持ちや文化人は京都の北の方に住み、南の方に上から目線を持っている地域論です。
大きく、区別の世帯年収で比較すると・・・・・・そんなに大きな格差はありません。大阪市内の区別の格差に比べると実にフラットです。もちろんフローでなくストックの格差があるとか、歴史的に作られた根拠のない差別とか、通りの向こうとこちらで土地格が違うといった、外部の人にはよくわからない理由での・・・・地元の人にしかわからない差異はあるのだと推測できます。ある意味奥深い・・・・。
京都府の人口の55%が集中するという東京都特別以外では日本一の集中度を示す都市ですからかなり、「煮詰まっている」感じがします。「暗黙の了解」を理解しない「田舎者」を軽蔑する「排他性」は一つの都市文化なのでしょう。京都人による自らの「いけず」を嬉々として語る書籍が沢山出ています。
数字から見ると「言うほどそんなに地域に差がないやん」などとい語る大阪人は深く軽蔑されるのだと思います。
大阪市内で低所得層の比率が高くなっている地域が増えているのは、中間層の郊外への流出と、他の地域からの貧困層の送り込みによるものです。大阪市だけではなく大きな枠組みでの取り組みが必要です。
(2010年12月7日) |
図ー京都市内区別世帯年収比較
 (住宅土地統計調査2008年)
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| ■大手IT企業のファッション強化とおまけ付き雑誌の隆盛 |
流通大手、メジャーブランドが楽天、アマゾン、ヤフーへ出店
アメリカではすでに2007年にEC(電子商取引)でもっとも売れるアイテムはアパレルになっています。現在楽天市場ではファッション関係のショップは6,000点弱でシェアは15%強程度です。まだまだ伸びる余地はあるとみられています。
大手百貨店の自前のECサイト構築ではあまり成功したという話は聞きません。アイテムの変化が少ない食料品や化粧品はそこそこ稼げても、アパレルは商品の回転が速く、自社の対応では商品の入れ替えや細かい提案のサイト構築にコストがかかりすぎるからです。例えば商品写真を1枚撮影するにも馬鹿みたいなコストがかかります。
アパレルのECで稼いでいる企業は機動性の高さが強みです。自分たちの好きな商品を身の回りのメンバーをモデルに自分達で撮影しますからコストはかかりませんし、思い入れも強いのです。
ファッションに興味があるが踏み出せない人へのアプローチ
ファッション企業側のECモールへの期待はどこにあるのでしょうか?「従来の顧客とは異なる客層にアプローチできる」(ユナイテッドアローズ)「より多くの消費者と接点を持ち、各レーベルや商品の認知を高め買い物を便利に買いやすく楽しくする」(ビームス)といったように客層の拡大、開拓に注目しているようです。〜繊研新聞11月30日記事より
大手のECサイトはファッションの購入になれていない人にもバリアが低いようです。雑誌のおまけについてくるブランドもの小物は伊勢丹の顧客は決して喜ばないでしょうね。ブランドの店舗がない地方在住者やブランドのファッションに興味があってもお店にいけない人が利用しているのだと思います。
ファッションに自信がないが興味を持っている層に対して真剣に向き合っている企業は少ないのです。ある程度のコンサルティングセールス、アドバイスが必要になりますが、ユニクロの価格帯の商品と競争する店は販売に時間を割けないジレンマがあります。GMSのアパレルが失敗するのはいい商品を作ってもセルフでは価値が伝わらず、かといって販売のノウハウのあスタッフも配置できないからです。・・・カリスマバイヤーを高い金で雇っても現場で接客してくれるわけではありません。ECサイトでも売りっぱなしではなく、ファッションのアドバイスが出来る仕組みがあればもっと市場は拡大するはずです。
本来は、そこに百貨店の強みがあったのですが(おしゃれに自信のない人へのコンサルティング販売)、店舗コストをカットするために人を減らしています。都心店舗であれば不動産業でもいいのですが、販売員が必要な郊外店ほど人を減らしているのは間違った政策です。
(2010年12月6日)
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| ■大阪市内で拡大する格差の原因は高齢化だけではない |
高齢化が進むと世帯年収の低い層が多くなる
大阪市内の過去10年間の比較を出来るようにしたのが図1〜3です。1998年には比較的差がなかった200万未満の層と1,000万円以上の層の差が年を追う毎に広がっていったことがわかります。
人口の増えている西区では2003年に拡がった格差が緩和される方向にあります。これらは比率の比較なので人口が増えていると全体のバランスは良くなります。
図ーでは京阪神と名古屋、東京を比較していますが、リーマンショック以前の成長を続けてい名古屋市内ではバランスがとれていたことがわかります。(この時期まで東京都も名古屋市も流入人口が増えていました)
高齢化だけでは説明できない大阪市の「貧困」の背景
大阪市の中でも突出しているのは西成区です。年間所得200万円未満の世帯が5割を超えています。10年前でも3割強であったのにこの伸び率は異常です。西成区内でも全体では人口は減少しているのですが一部の地域だけ伸びています。テレビなどでも報道されているように他府県、他都市から片道切符を渡されて大阪に送り込まれている・・・というのはマスコミ的な誇張ではないようです。
生活保護世帯の数が全国一で路上生活者への対策が充実しているだけにその対象者が集まるという皮肉な結果になっています。平松市長も生活保護から就業支援に舵を切ったように対策をこうしておられますが、一自治体だけの対応には限界があります。
外国の報道で大阪のデフレ経済が面白おかしく取り上げられたり、激安スーパーの「スーパー玉○」が大阪を代表するスーパーのように紹介されたりするので大阪だけがとりわけ貧しいような印象を与えていますが、人工流出が進み、高齢化が進む都市ではごいく普通のバランスであると思います。京都市、神戸市と比較しても、おそらく「西成区」の特殊事例(沖縄に米軍基地負担が集中しているように、高度成長期以降のデフレの中での高齢化のひずみが大阪に集中しているのだと思います)を除けばバランスは変わりません。
空間的な要因と歴史的な要因
大阪市が「貧困」から抜け出して、先に進むためには今の「貧困」の背景を分解してそれぞれの「受益者」への応分の分担を求めることが必要です。「貧困」の「マイナス」の部分はどこかの「プラス」に依るものです。
空間的には大阪でビジネスを行う人が居住する周辺都市です。阪神間、北摂、奈良の都市は「大阪」が良くなることでの共通の利益があるはずです。応分の負担があってしかるべきでしょう。
歴史的には現在の貧困層(特に高齢者)かつての「安く労働力」活用の遺物であると考えられます。つけが回ってきているのです。〜今、大阪には少ないのですが関東や中部に多い外国人労働者は、いずれ何らかの形で地域の財政負担になるはずです。・・・今となっては、誰に負担しろとは、いえませんが国民全体が何らかの形で利益を得ているはずです。国のお金を投入すべきでしょう。
大阪市に出来るのは、ホームレスを使った貧困ビジネスや不正受給者の犯罪摘発、失業対策就労支援などの地道な取り組みです。
大阪府がからむ某プロジェクトで国の補助金を打診した時に、険もほろろにあしらわれたことを思い出します。大阪ほどの都市ならば、自治体なり、地元企業がお金を用意すべきだろうという趣旨でした。国は大阪には冷たいのですよね。
(平松市長があれほど無理筋のサッカースタジオアム建設にこだわっていたのは、国のお金をひきだしてハコモノができるという風に勘違いされているからでしょうね・・・維持費はどうするのでしょうね。ワールドカップ招致に失敗したのは残念ですがナショナルプロジェクトで一時的国の予算を引き出すより、財源以上、権限委譲を求める方が長期的にはプラスです)
大阪を元気にするには府県を超えた周辺自治体との連携(というか取り込み)と国からの「貧困対策の国家的な取り組みとしての資金の引き出し」(=自治体の国相手の貧困ビジネスといわれてもかまいません)が必要ですし、その権利を主張しないと(いくらリストラしても)大阪の財政破綻が早まります。
図ー6にあるように「大阪都」というものを考えるのであれば、大阪府内だけでは完結させずに阪神間や奈良の一部も再編の対象にするべきでしょう。
(2010年12月3日) |
図ー1998年大阪市内世帯年収比較

図ー2 2003年大阪市内世帯年収比較

図ー3 2008年大阪市内世帯年収比較

図ー4京阪神と東京名古屋の世帯年収比較

(住宅土地統計調査2008年)
図ー4市税収入の構成比 〜大阪市は個人市民税の比率が少ない

図ー5 納税者1人あたりの納税額〜納税者に限っても、名古屋、横浜だけでなく周辺の大都市よりも少ない

図ー6 大阪への通勤率が高い都市と納税者1人あたりの納税額〜多額納税者は郊外へ

(大阪市財政の現状と課題)
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| ■東京、名古屋の区別の所得格差は大阪ほど大きくない |
大阪は東京の真似をしてはいけない
感情的な東京への反発心ではなく、都市の構造が全く違います。名古屋と比較しても構造が違います。昨日の図ー3の大阪市内の世帯年収の比較について、東京版と名古屋版を作成してみました。
東京は圧倒的に所得水準が高く、区の間の格差は年収の高い層の比率の違いです。大阪では年収200万円未満の層の比率の差であることとは全く反対です。
名古屋市は区の間の格差が比較的少ないように思えます。これもまた大阪市とは構造が違います。
大阪市を活性化するためには今の大阪市内を再編成するだけでは解決はできません。東京に対抗するだけではない独自のビジョンが必要になります。
(2010年12月2日)
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図ー1 東京都特別区の所得格差 世帯年収の比較〜200万円未満と800万円以上

図ー2 名古屋市の区別の所得格差 世帯年収の比較〜200万円未満と800万円以上

(住宅土地統計調査2008年)
昨日の 図ー3と比較して下さい。 |
| ■大きな所得格差を抱えて分割は出来ない〜大阪市解体論の手順違い |
実は貧乏な大阪市民
市場ポテンシャルとして住民の所得水準を比較すると大阪市は名古屋や東京と比べて低いのです。郊外への人口流出で中流以上の層が他府県を含めた郊外都市に流出してしまった事で富裕層、中間層が少なくなってしまいました。大阪市の財政規模が大きいといわれるのは企業が集中している為です。
多さkしないでも、特に西成区、浪速区などを中心に世帯年収300万円未満の世帯が多くなっています。(図ー2の黒く塗りつぶした区分から下が年収300万円未満の世帯です)
豊中市、吹田市と言った北摂地区だけでなく堺市、岸和田市と比較しても低い水準であることがわかります。
大阪都構想の中で大阪市を分割する案が出ていたことがありました。人数あわせでグルーピングしていけば法人が少なくかつ低所得層の多い地域の行政サービスは著しく低下します。(その時には行政サービスの良い自治体への人口移動が始まるのかも知れませんが)
・・・金持ちが多い程住みやすい街というわけではないですが、地域に産業があって税収のある街ほど行政サービスは手厚いのです。いまでも行政サービスには大きな差があります。
大阪都構想(広域行政)には配分の哲学が必要
対案として税収の再分配という提案がありましたが、大阪市だけでなく大阪府下の都市、大阪府下の都市だけでなく、大阪で働いている阪神間や奈良の住民の負担はどうなるのかと議論は拡散していきます。今は地方自治体は財源の委譲を国に対して要求する立場ですが、将来的に「関西州」が実現したときには広域の財源を配分する利害調整の哲学が求められることになります。
今。議論されている「大阪都構想」に賛同している議員さん達はそれを明らかにしていく責任があります。
愛着を持てて、相互扶助を受け入れられるコミュニティの範囲や規模は、コンパクトである必要があります。その意味で大阪市を分割して再編成するという筋道は間違ってはいないでしょう。分割してしまった後に残る大きな格差への対応(再配分の哲学)や、コミュニティへの愛着を無視した機械的な分割案が先走るようではデメリットの方が大きいように思います。
所得格差が大きいのは、工業都市「大大阪」の労働力を供給してきたという歴史的な経緯もあります。自己責任とか「市場原理」で調整(サービスの良い地域への自発的な転居)される・・・などという責任放棄はしないでくださいね。
(2010年12月1日)
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図ー1 大阪市内世帯数

図ー2 大阪市内及び周辺都市の世帯年収比較 (%)

図ー3 世帯年収の比較〜200万円未満と800万円以上

(住宅土地統計調査2008年)
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