analog-corp
Japanese English
会社概要  
What's New2015年の更新
 What's New
株式会社ANALOG   場調査から戦略構築まで現場をサポートするマイクロシンクタンク 
  エリアマーケティング・商業開発・まちづくり 

   (sano@analog-corp.com
トップページはこちらから  
 ■大企業の本社移転によって大阪は東京の人材の調節装置=草刈り場になっているという説
 
 大学入学時の転入者が多い東京、京都、愛知、大阪

 転入者数から転出者数を引いた転入超過数を比較すると、その都市の特徴が明らかになります。15~19歳の大学入学時の転入超過数が多いのが,東京都の他、京都府、大阪府、愛知県です。
 20~24歳の学卒者の就職時期では東京都、愛知県、大阪府で高くなっています。

 中堅世代の30歳代になると、東京都への転入超過数がプラスになっているのに比べ、大阪府ではマイナスになります。(この年代は東京都でも転出者数が多いのですが,それ以上に転入者を吸引しています。働き盛りで全国で活躍して欲しい時期なのでしょうが、東京集中が目立ちます)

 大企業が大阪から東京に本社を移転したり,実質的に本社機能を東京に移転しているため、中堅社員を東京に集めているといわれています。景気が良くなるほど,大阪から東京へのシフトが強まるため東京への転入者が増えていきます。景気が良くなっても,大阪は調整弁として都合よく使われるだけで、地域への恩恵が少ないという論者もいます。
 確かに身の回りを見ても、家族での転勤、単身赴任、出稼ぎを含めて、オリンピックを控えて好況と言われる東京へ移動している人は多いですね。(景気については実は下降局面にあるというエコノミストもいますが)

 東北の復興ということであれば喜んで協力しますが、オリンピックの開催で今以上に東京集中を進めることは腑に落ちませんね。

 高齢者が東京を離れる?

 図を見ていて、もう一つ気になるのは、東京で55歳以上の高齢者の転出超過数が多い事です。

 先日発表された介護老人を地方に送り込むという日本創世会議の「姥捨て計画」とは違った理由で、比較的早い時期から移動が始まっているようです。
リタイア後に備えた人生設計なのでしょう。

 東京は自然増が全国平均に比べて圧倒的に少ないのです。社会増によって成長してきた都市です。今言若年層自体のボリュームが縮小し、オリンピックまでの集中投資が終わった時点で大変な局面に立たされます。
 まず、生産年齢が今後65歳から75歳まで拡大しなければいけない時代に、元気な高齢者が東京を離れてしまうこと。これは、子育てサポートや介護の担い手として期待されている元気な高齢者が地域から離れてしまうことでもあります。
 資産保有率の高いシニアが離れるということは、個人資産が東京都から離れてしまうこと・・・これは想定していないでしょうね。まあ、ホリエモンもどきの金持ちが沢山いるから、全然気にしないのでしょうね。

 さて、どうなるのでしょう。外国人の移民を大量に受け入れますか?今後益々東京は日本の都市の中で「特異」な変化をとげていくことになります。もともと住んでいた住民にとってははた迷惑なことこの上ない・・・・・吉本芸人などの偽関西人と外国人に我が物顔に闊歩されたら、さぞや楽しいまちになるでしょうね。    大阪が東京「都」の小型縮小版にならなくて本当に良かったですね。

                                                                      (7月28日)
 図ー転入超過数比較
(住民基本台帳)

 ■ヤンママの多い街は・・・・・南北差ともいえない大阪府内のギャップ
 
 大阪の南北問題についてはよく語られています。先日の空騒ぎでも「南北問題」が勝敗を分けたようにもいわれていました・・・・・。皮相的な見方ですね。

 人口動態統計で年代別の出生率が算出されています。一定の期間内にその年代の女性が出産した比率が千分率で表されています。東京都内の出生率の地域ギャップに関する論文に触発されて、大阪府についても数字をひらってみました。

 その結果、大阪府下(南部)はもとより大阪市内でも環状線の外縁部では若い女性の出生率が高く、全く都会的?ではないことが明らかになりました。若くして出産したママ=ヤンママの比率は全国平均より高いのです。

 別の論文で大阪の若い女性の「就労率が低い」という事が指摘されていましたが、出産子育ての最中だったからなのですね。ちなみに他の地方都市でも名古屋市や福岡市は都心部では全国平均より低くなっています。北九州市は大阪と同じく全般的に出生率が高い・・・・・・。(面白い解釈も出来そうですが、データ的にはこれだけでは不足です)

 東京都特に23区が異常なのでしょうね。足立区だけが、かろうじて全国平均を超えています。

 大阪は規模は大きくても東京とは都市の成り立ちが全く違うということでしょう。ごく一部の都市化されたエリアを固有の文化、生活スタイルを持った地域が取り囲んでいる・・・といったイメージでしょうか?

                                                                           (7月24日)
 図ー大阪府ヤンママMAP 24歳までの女性の出生率の高い地域 2008年~2012年人口動態統計より作成
 
 図ー24歳までの女性の出生率(千分率)東京と大阪の比較  2008年~2012年 千分率
                         全国平均40.8
  
 ■2030年の大阪像について
 
 大阪は東京の景気変動の調整弁

 「景気が良くなれば大阪圏から東京圏への人口移動が多くなる」こんな事実を明らかにしたのが大阪都市産業振興センターの徳田調査室長による「東京圏と大阪圏の人口動態比較に見る経済成長の裏側」というレポートです。(経済調査室の自主研究)

 いままで、仕事がないから関西の学生が卒業後首都圏に流出しているという固定概念にとらわれていたのですが。「景気回復下」で求人が増えても、若者の東京流出が増えています。さらに30代の働き盛りの層でも東京への流出が増えています。
 大阪から本社を移転させる大企業が増えています。かろうじて名目上の本社を大阪においていても,実質は東京が本社の企業も少なくありません。景気が回復し、オリンピックという需要が控えている東京市場に自社社員を転勤させることは簡単です。ファミリーごと東京へのシフトが進んでいるようです。

 単純に「景気が良くなり」「求人が増えれば」という問題ではありません。

 2030年  オリンピック後の都市像

 現在の大阪はインバウンド需要頼みしか目立つ景気回復策はないようですが、京都、大阪、神戸の都市の魅力を活かした新しい産業、文化拠点をつくることで、「東京」とは違った進化を果たす必要があります。

 どんな人を集めるのか、どんな産業を振興するのか、東京のコピーで無いビジョンが求められます。東京のコピーである限り、需給調節の安全弁として東京の2軍でしか存在できなくなります。
 
 ・・・・ということで、「2030年の大阪スタイル」というテーマで原稿作成中です。

                                                                      (7月16日)
 ■銀座伊東屋新本店開業~今後は大都市部に旗艦店出店も
 
 銀座伊東屋は1904年(明治37年)に銀座に開業した文房具専門店です。
 6月16日に新本店「G.Itoya」がオープンしました。
 「"モノを買う店舗"から様々な体験のできる"過ごせる店舗"へと、生まれ変わりました。
いいアイデアがひらめき、良い考えがまとまり、誰かに伝える。また、次に進むことができる。そのために必要な道具を、空間を、時間を、技術を、その行動の源となるエネルギーも、全てのクリエイティブな時をサポートするレッドクリップのG.Itoyaです」
 赤いクリップは同社のシンボルマークですね。

 総床面積:4195.46平方m 階数:地下2階・地上13階

 最上階はカフェになっていて11階で水耕栽培された野菜を使ったメニューが楽しめます。
 10階はビジネススペース
 9階はバックオフィス
 8階はCRAFT(デザインペーパー、ペーパークラフト道具、クラフト教室、ラッピング制作)
 7階はFINE PAPER(竹尾見本帖による紙の専門店)
 6階はHOME(キッチン・リビング用品、バス・トイレタリー、整理収納用品)
 5階はTRAVEL(バッグ、ケース類)、Nomad’s Nook(作業スペース)
 4階はMEETING(デジタル&アナログノート)、Note Couture(オリジナルノート製作)
 3階はDESK(ステイショナリー)、Pen&Ink Bar(ペン各種)
 2階はSHARE(便箋、封筒、ハガキ、プチギフト、慶弔品)、Write & Post(手紙を書くデスクとポスト)
 1階はSENSE(グリーティングカード、ドリンクスタンド)
 地下1階はInspiration Hall(多目的ホール)

 オープン時は行列が出来ていたようです。普通の文具を売っていないという声もあるようですが、ティファニーとブルガリの間に挟まれた店ですから,コンセプトショップになるのも仕方ないでしょう。
 裏手には2012年12月に 「K.Itoya」 本店建て替え中の仮本店(286坪)を営業しています。
 「大人の隠れ家をテーマに2012年10月にオープンしたK.Itoya。万年筆・画材・地球儀・そして2015年6月より登場の印刷・印章などを扱うパーソナライズ
何れもじっくりと商品をお選びいただくにふさわしい空間となっています」

 2店あわせて旗艦店なのでしょう。

 今後、札幌、名古屋、京都、博多などに旗艦店を出店。20~30坪の小型ファッション志向業態「Itoya topdrawer」を周辺に配置する構想を持っている。
オリジナル商品の比率も高めており,コンビニとの競合が激しい文具事務用品業界の生き残りの道を模索しています。街の文具専門店はピークだった1980年代から三分の一に減少しているといいます。

「16日に新装開業した東京・銀座の本店では、オリジナル商品と直輸入品の合計の割合をこれまでの1割から約2割に高めた。さらに2020年までに5割に高める。全国の百貨店などに入居する伊東屋8店舗でも順次比率を同様に高めていく方針だ。(日経MJ)」 

 他業態とのコラボにも熱心で、ユナイテッドアローズ、タリーズコーヒーなどとの取り組みが実現化しています。

 家具や家電、おもちゃ、荒物など専門の小売り店が減少している業態にも参考となる取り組みでしょう。

                                                                        (7月14日)
 ■身の丈以上に膨らもうとすると反動も大きい~大阪は50年遅れるのか
 
 大阪は50年遅れるのか?

 例の、大阪を分断する騒動が一段落した後、「大阪の発展は50年遅れるといわれてるしね」とおっしゃった中小企業経営者が居られました。一体「何故50年なのか」、「まちの区割りごときで何故遅れるのか?」・・・・不思議に思って検索してみたのですが、「地方の行政改革が50年遅れる」と発言された作家の先生はおられましたが(それも数字には根拠が無いのですけれどね)原典は見当たりませんでした。

 いずれにせよ、これはオリンピック景気で賑やかな東京と比べた関西の経営者の「不安感」を現している言葉なのだろうと思います。

 首都圏はオリンピックに向けた需要の拡大で「うはうは」なのでしょうか?・・・・色んな人に聞いてみても半信半疑。確かに目の前の需要はあっても,コストもアップしているし、その為に人も増やせない(第一人も居ないのですが)。という声が大半です。

 東京オリンピックの後の不景気の時のことはわかりませんが、バブルの時に急拡大した企業はその後、バブル崩壊後「瞬殺」されました。大きい事はそれだけが価値では無いのですよ。「地力」がないとね。


 何がいいたいかというと、「東京に50年遅れる」事はもし本当だったとしても、少しも悲観することではありません

 「新国立競技場」のコストが話題になっていますが、屋根建設の追加コスト、ランニングコスト負担は東京オリンピック後の「東京経済」全体の反動ショックを象徴しています。2030年の東京について考えると少し日本が心配です。・・・・・桝添さん頑張って下さいね。
 高齢者をどんどん地方に「返品」するのなら,東京は応分の負担をして下さいね。
 
 この5年間という短いレンジでは無く、もう少し長いレンジで見た「大阪」「関西」の東京とは違う発展の姿を描き出せれば、面白いことになると思いますよ。

 例えば、大阪船場には「扇子商法」という考え方があります。良いときは拡げて、悪くなったら小さくたたむ仕組みを組み込んでおく・・・。(一度も扇子を拡げたことが無いお前に言われたく無いわ・・・失礼いたしました)

 単に「東京」を追っかけるのはやめましょう。もう。名前変えたっておんなじやし。

 その他最近感じる事

 ・最近、「工務店」の倒産のニュースが多いですね。売掛金のトラブルが中心です。建築業界に景気回復の「高揚感」が無いのは関西や地方だけでしょう 
  か。
 ・救急車がなかなか来てくれない。確かにタクシー代わりに使うマナーの悪い利用者もいるのでしょうが、団塊世代の職員が少なくなっているといいます。
  そのため、出動できないので一部のマナーの悪い人のことをキャンペーンしているのかも知れないですね。
 ・役所の人の特性として、「制度」などの表向きの辻褄がっていれば、それでよしとする傾向があります。「「人材派遣制度」や「労働基準監督」などの世界 
  は「実態」と「建前」の乖離が特に激しいので苦労しました。「介護」や「保育」についても「制度設計」や「施設数」など目に見える成果は気にしますが、そ  れを担う「人財」が揃っていないと機能しないのです。・・・・頭数を揃えるために「外国人労働者」を「輸入」しても何の解決にもなりません。「建設現場」で  も同じです。

 おまけ

 最近更新が遅れ気味です。お詫びの印として すぐに使える
 「マーケティング戦略の基本プロセス図」 パワポファイルをお送りします。
 お中元です。プレゼン、研修にお使い下さい。

 マーケティング戦略の基本プロセス.pptx へのリンク


                                                                             (7月3日)
 ■百貨店の中から消えてしまった「生活分野」の復活
 
 5月 二子玉川ライズに「蔦屋家電」オープン

 二子玉川駅に隣接する東急不動産の大型SC(再開発物件)に5月3日に「蔦屋家電」が開業しました。家電製品単品を販売するのでは無く、食。美容、健康などの生活テーマごとにこだわり家電と関連書籍を提案するそうで,定価販売なのがポイントです。
 ショールーム的な色合いが強く、50人の専門知識を持ったスタッフがコンシェルジュとして接客しています。

 百貨店から家電売場が無くなって久しいです。一時は高齢者がパソコンを買うというニーズもあったのですが、販売員のスキルが「百貨店」接客に対応していなかったこともあり、いつの間にか無くなってしまいました。家電量販店をテナントとして入店させていた時期もありましたが、家電量販店も売り場規模の競争に入ってしまい、百貨店出店のメリットも無かったのでしょう。

 新聞報道では賑わいが実売に繋がっていないとの指摘もありますが、ネットとの競合で来店頻度が落ちているという側面もあるので,まず、店に足を運んでもらう事は大事なポイントです。

 松坂屋名古屋店8,000㎡のヨドバシカメラをテナントに

 6月9日、11月に松坂屋名古屋店南館にヨドバシカメラをテナントとして誘致することが発表されました。松坂屋の旗艦店舗で名古屋では一番店でしたが,名古屋駅のJR名古屋髙島屋に一番店の座を奪われた事への巻き返し策です。
 発表ではヨドバシのコンシェルジュサービスが誘致の決め手とされています。お客様の声に併せて異なる売場の商品をまとめて売り込む・・・という強みです。松坂屋とヨドバシが一体となって家具、インテリアと家電を組み合わせた生活スタイルを総合提案する・・・・・そうです。誰がやるねんという突っ込みが聞こえてきそうです。
 当面、旺盛な中国人観光客のインバウンド需要にかき消されて、免税カウンターの整備・・・という方向に流されそうと多くの人は見ているでしょう。

 百貨店が切り捨ててきた「家具」「家電」などの生活空間を総合的に提案するという構想は素晴らしいですが,誰がそれを出来るのか?確かに昔は老舗百貨店にはそれができる人材もいたのでしょうが。企画の狙いと想定される実態のギャップが大きすぎます。企画書通りの店を作るなら」組む相手はヨドバシでは無かったでしょう。

「総合的な生活提案力」はパワーポイントの企画書に書くことは簡単です。誰が,どのようにしてそれを実現するのか?

 百貨店にはそれを実現できる人材がおられましたが,今もまだ健在なのでしょうか。

 小田急新宿店の「STORY STORY」は有隣堂が取り組む複合店

 4月24日小田急新宿店にオープンした「STORY STORY」は書店とカフェ、書店と雑貨、ネットとリアルの融合店舗です。横浜の書店有隣堂が楽天とコラボし、ネット通販と店舗を融合。店舗で楽天市場で売れているコードレスのハンディクリーナーを販売したり,カフェでは楽天の電子書籍COBOでファッション誌などが無料で読めるそうです。

 カフェと書店の複合は珍しくないですが、楽天のネット通販とコラボしているところが味噌です。小田急百貨店としてはどう位置づけるのでしょうね。

 家具,家電,書籍など百貨店の中で効率が悪いと切り捨てられてきたジャンルの商品が再び、注目されてきています。同じように切り捨てられてきた「文具」ジャンルでは「伊東屋」がオリジナル商品を現在の1~2割から5割に高めて魅力造り、差別化をはかる方針を発表しています。

 ショッピングセンターの核になる機能として「食料品」や「飲食」が注目されているといわれています。そのキーポイントは「オリジナリティ」だと考えています。核になっている高級食品スーパーは必ず自社オリジナルの商品を持っています。他に無い商品、他に無い価値を提供することが商業施設の生き残りの道です。

 面白くなってきましたね。

                                                                            (6月23日)
 
 ■出生率の地域格差~南北問題と違った視点での大阪の中の壁
 
 大阪の中の地域差の背景

 いわゆる「都構想」騒動での大阪市内の地域毎の賛否の差は、大阪という地域の中でも「差」がはっきりとしてきたことを考えさせられます。大阪府の中では「南北問題」はかねてより課題になってきました。大阪市内でもビジネス街、繁華街を抱える北区、中央区、浪速区、天王寺区、西区、福島区が都心6区と呼ばれていますが、それらの区と住宅が中心の区では課題も異なるので、本当は都心とそれ以外で行政単位を分けた方がいいのかも知れません。

 大和総研のサイトで「東京23区間で異なる出生率とその要因」という記事が掲載されています。合計特殊出生率(1人の女性が一生に生む子供の数)について23区内でも江戸川区が全国平均を上回り、葛飾区、足立区、江東区、荒川区が高く、反対に渋谷区、新宿区、杉並区、目黒区、中野区が1を下回っていると大きな差があります。30歳から49歳の女性の未婚率との相関が高いと分析しています。詳しくは下記のサイトを参照下さい。

 http://www.dir.co.jp/consulting/insight/public/20150617_009827.html へのリンク

 大阪ではどうだろうと思い、作図したのが下の図です。

 鶴見区、平野区、西淀川区、此花区などが高いです。以前にも指摘しましたが,交通の便が良く,物価も安いので若い夫婦が住みやすい穴場だと思います。北区、中央区、西区、浪速区などの繁華街を抱える都心は低くなっていますね。高齢化率とはまた別のグルーピングになるのは面白いと思います。

 ただ、大阪府ベースで見ると豊能町や能勢町、河内長野市、富田林市などベッドタウンで出生率が低いのが気になります。何が原因なのでしょう。

 次のCRIの寄稿までにいくつかの切り口で分析しておこうと考えています。

 商業施設と地域性

 二子玉川ライズの「蔦屋家電」が気になります。インバウンド消費で課題が先送りされていますが、」これから商業施設は「地域性」「地域の成熟」とより密接な関わりが必要になるはずです。足元の住民層の「文化資本」が高ければ「商業施設」の質が高まります。質が高まれば依り広域からの集客がより広域からの集客も可能になり生き残りが果たせます。

 人口減少社会の中で商業施設は淘汰される時代が来ます。

 大阪をモデルに地域性に根ざした商業のありかたを提示していきます。

                                                                               (6月18日)
 図ー大阪府の合計特殊出生率(1人の女性が一生に生む子供の平均数)2008~2012年
 

 ■三越伊勢丹と提携解消した東急百貨店~インバウンドバブルによって先送りされた百貨店の課題
 
 業績が伸び悩む?東急百貨店

 東急百貨店は、人材派遣、売場運営などの連係を目的に三越伊勢丹と提携していました。伊勢丹にとっては本店のある新宿商圏に次ぐドミナントとして渋谷商圏を固める思惑があっったのでしょう。
 派遣された二橋社長は「渋谷ヒカリエシンクス」などを成功させたものの、業績が「低迷」しているために「伊勢丹流は限界」という社内の声もあるといわれています。

 大手百貨店が業績が良いのは「インバウンド需要」によるものです。高額品や化粧品、富裕層の購買が「課題」を隠して先送りさせているのだと思います。「インバウンド需要」は「神風」かも知れませんが、一時的なものでしかありません。あくまでも、顧客を造り、継続していく事にどれだけ貢献しているかを見極める必要があります。

 鉄道系のターミナル百貨店は、どうしても「高級ブランド品」は弱いので、インバンド需要の恩恵が少ないのです。

 小田急、京王、近鉄、阪神、名鉄なども同じ課題を抱えています。強みであった「食料品」に関しても、ショッピングセンターの集客の鍵として近年、都市型、郊外関わらずに競争が激しくなっています。高質、高級な食料品を扱う食品スーパーが「核」になってきています。

 生き残る道は、より鉄道と一体となって沿線を深耕することしかありません。

 阪神電鉄が高架下活用にクラウドファンディングを導入したり、東急電鉄が沿線でのBtoC,BtoBtoCのサービスや製品についてベンチャー企業を支援する取り組みを始めたように、沿線顧客の囲い込みだけで無く、沿線価値向上の為の取り組みに「百貨店」として関わることが「差別化」につながります。

 駅ビルの顧客はどうしても20~30歳代の女性が中心になります。百貨店ならでは「多世代」の「シックな生活対応」が持続性のある商業の基盤となります。

 「都構想騒動」から考えた事 ~変わったのはTVの影響力の衰退だけはでなく、「世界」の乖離の顕在化

 東急百貨店と三越伊勢丹の提携解消は東京という都市の中でも「地域性」の強いものと「グローバル?」(地域性の希薄なモノ)の乖離が進んでいる事の兆候だと考えています。・・・先日「大阪都構想」」の得票のエリアの差について、議論してからずっと考えている事です。

 「肉体」「生理」に根付いた「感覚」は、あれほどテレビが応援し、吉本の芸人も動員され、大量の広告が動員されても覆されなかったという事実が、メディとしてのTVの影響力の衰退だけでない、社会の変化を現しているように思うのです。

                                                                            (6月12日)
 ■「東京」はもう外国~関西では減少している外国人居住者が首都圏では伸びている
 
 関西人には見えない東京

 関西にいると見えない「東京の姿」があります。一つは米軍基地がやたらと多い事。(大阪府には無い)そして首都圏では急激に外国人居住者が増加していることです。これが「グロー-バル化」というやつですか?1990年までは在日韓国朝鮮人が多い、大阪が全国トップでしたが1995年以降東京都に住む外国人が急激に増加しています。
 東京都では学園都市でもある八王子に多いとかいう傾向もありますが、やはり経済活動が活発で働く場所があるから人も集まるのでしょう。(新宿区、豊島区、江戸川区、江東区)愛知県、神奈川県でも伸びているので外国人労働者なのでしょうね。

 東京はインターナショナルなエスニックシティへと変貌をとげつつあるのでしょうか?都民は日常の風景に慣れてきているのでしょうが、数字を見れば伸び率は異常です。国勢調査なので居住実態がある人に限られます。不法滞在はカウントされていません。・・・観光客が多いねとか、中国人が試算としてマンションを買っているねという次元の話題ではありません。

 大阪に韓国・朝鮮人が多い理由について、渡来人が多く定住していたベースがある+戦前の工業都市大阪へ労働力として徴用、あるいはお金を稼ぎに来た人達が済州島~大阪の定期便を経由して流入したといった説がネット上では展開されています。
 大阪という土地の気質がオープンマインドで多様な人を受け入れる風土がある・・・という説もあります。いずれも決定的な説明とはなりませんが、同国人のコミュニティができあがれば、そこを目指して人が流入するという事は事実でしょう。

 今後オリンピックに向けて東京では確実に人手不足が続きます。建設業界でも外国偉人労働者の活用が取りざたされています。(現場の人に効くと100%、外国人労働者について即効性は無いと断言します。足りないのは経験を持った現場の管理者ですしね)
 確実に、加速度的に外国人人口が増えます。それは国際的な経済力の優位性の象徴なのかも知れません。人口減少に「移民」が有効な対策なのかどうかはわかりません。合法か不法かはわかりませんが、首都圏での「外国人コミュティ」は膨張します。オリンピックの後、どうなるかです。
 
 うまくすれば、世界中の人が憧れるチャンスをいかせる国際都市に進化するのでしょうが、ハードルは沢山あります。

 邪魔者は地方へ

 嫌な記事を読みました。東京で今後増加する高齢者の介護を「余力のある」地方都市へ送り出そうという提言が日本創世会議で発表されたということです。名指しをされた九州の都市では「元気な高齢者」は歓迎するとしても「介護」の余力は無いと、戸惑いの声があがっているそうです。

 邪魔になったもの(人)は他所へ追い出す・・・・・・。失業した高齢者に大阪(西成)行きの切符を渡して、大阪へ行けばたべていけると追い出した名古屋市職員のような「ばば抜きゲーム」は今も健在なのでしょうか。(大阪市の区別の転出入を調べると、50~70代前半の年齢の社会増は市内では西成区が最も多いのです。全体で人口は減少しているにも拘わらずです・・・・。誰が、どこから、何故移転してきているのでしょう)

 オリンピック後の「国際都市東京」のビジョンをしっかりと構築すべき時期でしょう。外国人を排斥すべしという議論ではありません。流れは止められません。実態を把握し、外国人の労働力を使い捨て扱いするのでは無く、生活設計を立てられるようにしなければいけません。ドロップアウトさせてはだめです。「やつらが勝手に来ているんだから、邪魔に無ったらい返せばいいさ」という短絡的な思考は国際的な孤立を招きます。


                                                                            (6月5日)
 
 図ー外国人居住者の推移(国勢調査)首都圏、愛知県で大きく伸びるも関西圏では減少
 

図ー東京都市区別外国人居住者数




 ■「もりのみやキューズモールBASE」~サービステナントの導入に問われるデベロッパーの編集力
 
  実際に拝見すると、オープンモールの為かパブリックスペースが広く、ランニングトラックやドッグランなど気持ちのいい付帯施設があります。
 ライブラリーカフェ「まちライブラリー」が人気でした。カフェが多く全体的にゆったりとしています。

  施設の近くでは民間の運営で注目される「大阪城公園」もいいのですが、「なにわの宮公園」そして病院との間の街路樹の並木道がとても「大阪市内」とは思えないほど美しい街です。

 隣接するライフの運営する「セントラルコート」は優れた店です。ちなみに近くの「イズミヤ法円坂店」にも強い食のこだわりを感じます。スーパー空白地帯だったのですが、人口も増えているので、上質な新しい生活圏が上町台地に産まれてきているのでしょう。

  サービステナント自体はありがちなテナント名がみうけられるのですが、直営やグループ企業を交えてうまく編集されているので、非凡な施設になっています。

 この組み合わせで成立するという事業計画を立てることができたのは素晴らしいと思います。

 SCはサービステナントでの集客、差別化がトレンドですが、リニュアールしたSCで売上げ目標だけが高いままというケースを見ると、現場担当者が気の毒になります。

                                                                      (5月29日)
 
  

  
図ー大阪市内のスーパーマーケット分布(電話帳より抽出
    法円坂、森ノ宮はスーパーマーケットの空白地帯でした
 ■ディスカウントストア業態の衰退と「進化しないドンキホーテ」の魅力について
 
 大手チェーンストアのディスカウント業態からの撤退

 かつては総合ディスカウントストアに勢いがありました。大手チェーンストア系列の「ダイクマ」(イトーヨカドー)、「トポス」「Kous」(ダイエー)など・・・・不況下での不振店活性化の救世主のように見られていました。今はもうありません。ドラッグストア、ホームセンター、家電量販店、100円ショップなどとの競合で総合ディスカウントストアには勢いがありません。

 アメリカのホールセールクラブや低価格を前面に出すスーパーは今でも勢いがありますが、総合ディスカウントストアで元気なのは「ドンキホーテ」「大黒天物産」ぐらいでしょうか。オペレーションコストを下げて、「薄利多売」で「祖利益率」を高めるDS業態は「不振店舗」にたいするカンフル剤としては効果がありますが、出店2年目に競合との価格競争になると利益確保は難しくなります。

 進化しないドンキホーテ

 大阪市内に開店した「メガドンキホーテ新世界店」と「ドンキホーテ法円坂店」を実際に見てきました。生き残っているDSは何か新しい進化があったのでしょうか?家電、おもちゃ、雑貨、スポーツ用品、ブランド品などがうずたかく雑然と積み上げられている店内は、昔のディスカウントストアと全く変わりません。

 「圧縮陳列」と呼ばれる圧倒的な品揃えボリューム、キャッチーなPOP、商品の定期的な入れ替え・・・・通常のチェーン店とは真逆な店頭のエンタテイメント性を継続できるのは、「現場への権限委譲」仕入れも販売責任も売場担当者に委ねるという仕組みによるものです。(そういえば、同じように雑多なモノを扱っている本屋さんビレッジバンガードもまた現場への権限委譲をうたっていました)

 収益を上げるための仕組み=仕入れルート開発やオリジナル商品開発、自社のカード等は本部が行い、店頭の運営は現場に裁量権を与えていることで、売場の劣化は抑えられているのでしょう。

 ただ、一方で個人のスキルに依存する部分が多いだけに、「売場」の印象は進化していなくて洗練はされていません。未来の店舗を作るためのヒントはありません。泥臭いところが魅力ではあるのですが、大手チェーンにとって参考にはならないでしょう。(真似は出来ないでしょう)

 白銀台のお店はぜひ見てみたいですね。(変わっているのか変わっていないのか)

 食料品については価格訴求が前面に出ているモノの「意外」(といっては失礼ですが)と清潔感がありました。ボリュームのあるチキンカツ弁当が前面に出ていますが鮮度管理はされているので、某「T出」のような生ゴミ感のある惣菜はありません。「新世界」という立地にしては上出来です。

                                               (5月29日)

 メガドンキホーテ新世界店                  ドンキホーテ法円坂店
     
フェスティバルゲート時代は警備員さんの人数がお客さんより多かった印象がありますが、パチンコ屋サンということですっかり街に溶け込んでいます。
ここは当初「韓流テーマパーク」が出来る予定でした。
 ■新世界から白銀台まで「ドンキホーテ」が求められる理由
 
 5月29日港区白銀台に「プラチナドンキホーテ」オープン

 ドンキホーテの勢いが止まらないようです。東京都港区白銀台といえば都内有数の高級住宅地ですが、駅前2分の場所に24時間営業の「プラチナドンキホーテ白銀台店」(944.7㎡)が29日開業します。食品、生活雑貨、日用消耗品にカテゴリーは絞り込まれます。「驚安感。猥雑感、高級感のミックス」をテー-魔にした実験店舗です。特に食料品は直営の精肉、青果の他、三重県の松阪牛専門店「朝日屋」がテナントとして初めて入店します。
 店内調理の惣菜や弁当、低糖質のふすまパンなども取り扱います。(旧長崎屋もグループ企業ですから食料品ノウハウは無くはありません)

 今年になって出店パターンが多様化しているように思います。

 5月22日には大阪市中央区法円坂の「イズミヤ法円坂」(5月15日オープン)に「ソリューション出店」(テナント出店)しました。今まではローコストの居抜き出店が多かったのですが、最近力を入れ始めました。大阪医療センター内の店なので、石鹸。シャンプー、洗剤などの生活用品や小型家電を揃える一方、日配品やカジュアルブランドを品揃え。免税品カウンターを設置しインバンド需要にも対応しています。(売場面積2,170㎡、9:00~24:00営業)
 客単価は23,000円前後と通常の店舗より500円高く設定されています。売上目標は25~30億円です。通常店舗では30%をしめる食品比率はイズミヤのテナントということもあり17%と設定されています。
 イズミヤといえばエイチツーオーリテイリンググループですが、「ドンキホーテ」に相当する業態はグループには無かったのでしょうね。

 2月27日には大阪市浪速区新世界のフェスティバルゲート跡地のマルハン(パチンコ屋)の2階に「メガドンキホーテ新世界店」(5,112㎡)をオープンしています。生鮮食料品、食料品から雑貨、家電製品、化粧品、海外ブランド品まで扱う大型店舗です。通天閣に近く観光客の取り込みも意識しているのでしょう。トレンドを意識したブランド衣料はセレクトショップ仕立てでファッションが強化されているようです。

 かつて岸和田で百貨店グレードのホールセールクラブを開業して失敗しましたが、インバウンド需要が伸びている今、家電、化粧品、ブランド品などは確実に売れるでしょうね。道頓堀店では4割がインバウンド需要だそうです。

 ドンキホーテの強みとは?

 かつてはディスカウントストアの一種とみなされていたドンキホーテですが、その勢いの秘密はどこにあるのでしょう。撤退した店舗に出店してコストを抑えてきたことや、安売り商品で集客し、PB商品でしっかりと利益を稼いでいたことなどが見えていますが、現場の裁量責任で仕入れを任せたことが、他店に真似の出来ないポイントだったのだと思います。
 売場の責任者は自分が責任を持って仕入れたモノは売り切るという文化があることで成果への執着が違ってきます。

 「ドンキホーテ」の売場は「ヴィレッジバンガード」や最近の「TSUTAYA」にも似ています。販売サイドの都合によるカテゴリー分けにとらわれず、顧客の求める商品、さらにはサービスも融合していこうというものです。最近の百貨店やSCの売場では「女子向け」のそんなミックスが流行でもあります。(カフェ+雑貨+ファッション)

 チェーンスト理論では店頭のアイテムを減らして同じ商品を大量陳列することが効率的とされていますが、効率の低下やオペレーションの煩雑化を受け入れてでも集客を図らなければいけない状況に商業施設は追い詰められているのだと思います。

 商業施設の中でかつてなら非効率とされていたサービス系のテナントが増えています。固定賃料が安定的に入り、集客に繋がることで「歓迎されているようです。

 ワールドがチェーン展開していたブランドを絞り込むようです。「同質化競争」から抜け出すことが優先されるようになっていますが、人手不足の時代にれは、「人財」によって左右される戦略だと思います。人をサポートするICTの活用は出来ているでしょうか?

 商業施設の運営はこれから大きく変わっていく時期なのでしょう。最大チェーンのユニクロの柳井さんの言動にもその危機感が感じられます。トップマネジメントと現場ではわかっていることがミドルマネジメントには浸透していないとも感じます。中途半端な「成功体験」を捨てることが出来ないのでしょうね。

 
                                                                             (5月29日)
 ■京阪電鉄のホテル事業再構築と中之島開発の行方
 
 大阪のホテル計画

 関西の私鉄では近鉄があべのハルカスにマリオット都ホテルを開設しましたが、それ以降目立った動きはありません。外国人観光客が増えていて、ホテルが不足している状況ですが、投資して開業した頃の景況が読めないということでしょうか。「大阪都構想」を巡る騒ぎが一段落し、大阪の官民の一体感が回復し、」周辺都市府県との連係もスムーズになるでしょう。開発プロジェクトの構想も総花的になっていたモノが、絞り込まれると想定しています。
 私はこの結果はプラスに働くと見ています。(もし可決されていれば、大阪市民の分裂の後遺症も残り、新しい組織や庁舎の立ち上げに時間とコストが費やされて、何もかもが後回しになったでしょう)

 中之島地区の開発でも朝日新聞のビルにリーガロイヤルホテルが中規模(170室)のラグジュアリーホテルを2017年夏に出店し、今のリーガロイヤルホテルは2021年をめどに建替られる予定です。森トラストの副社長が商業施設新聞3月10日号で語っているように、東京オリンピックを前に建築費が5割高騰している事もあり、民間の設備投資はオリンピック後に回すモノがあってもいいという考え方もあるので、再開発はそれ以降になる可能性もあります。

 もうひとつ、中之島西部地区の京阪電鉄と大林組の土地での開発の動向が気になります。リーマンショック前は「ラッフルズ」の出店も噂されていましたが、その後の動きは表面化していません。今のタイミングでしたら海外観光客も多く、チャンスを活かせたでしょうが・・・・・オリンピックなどのイベントの後は必ず反動が来ます。

 京阪グループのホテル戦略

 2017年をめどに四条河原町の髙島屋に隣接した土地に複合商業施設「BIOーStyle」を開業します。有機農産物の販売を手がけていた「株式会社ビオ・マーケット」を傘下にいれ、京阪グループの事業領域(ホテル、物販、サービス、飲食等)「健康的でクオリティの高い生活」や「多様性ある自然環境との共生」「環境保全」などを幅広い生活シーンに採り入れたオーガニック・ライフスタイルをプロデュースする「BIO-Style」を創造し、京阪グループの新たな事業展開の軸としていくそうです。具体的にはオーガニックフード、コスメ、雑貨、カフェとリラクゼーションサービス、ビオトープなどとともにホテルが設置されます。環境や健康に特化した少し尖ったコンセプトのホテルのようです。

 既存のホテルのリニューアルもすすみます。京都駅前の「ホテル京阪京都」は宿泊主体型のホテルとしてワンランク上の質感とコミュニティスペースの強化で駅前立地の存在感を高めます。「ホテル京阪天満橋」は大阪城公園に近く民間運営で活性化する観光スポット大阪城に来訪する外国人観光客対応を強化します。

 比叡山の「ロテルド比叡」はリゾートホテル運営に実績とノウハウのある星野リゾートに運営を委託し「星野リゾート ロテルド比叡」として再出発します。婚礼やレストランだけの利用はできなくなり、オーベルジュとして宿泊客の利用に限定されます。

 琵琶湖ホテルは2回のアトリウムラウンジを改装し、イタリアンレストランをオープンさせます。

 鉄道会社のホテル事業は首都圏での宿泊特化型ホテル事業が中心になってきています。観光客が増えている今でこそ大阪のホテルの稼働率は高いのですが、しばらく、低い稼働率が続いたので慎重になっているのだと思います。

 IR(カジノ)誘致もリベンジポルノ問題もあり一歩後退したと見ています。(もともと課題もおおいですしね)。現在の資源で観光客は集客できているので、文化や研究などの交流を強めていく事が大阪のプラスになると考えています。中之島は文化や大学の拠点でもあるので京阪電鉄にはいいホテルを作ってもらいたいですね。

                                                                   (5月26日)
 ■観光地化する「商店街」~「明石魚の棚商店街」
 
 「軽食」が増えて「魚の価格」があがる・・・だめな観光地化の兆候

 久しぶりに明石の「魚の棚商店街」を訪れました。魚の棚といえば「昼網の魚」が有名で、小売り店が昼網の魚のセリに直接参加できる特異な仕組みで新鮮な魚が手に入る商店街として有名です。
 目についたのは「串にさした揚げ物」などの軽食類が増えたことと、明石焼きの店がどこも行列だったことです。立ち食いの軽食が増えたのは大阪の黒門市場や京都の錦市場と同じような傾向です。

 鮮魚はなかなか持ち帰るのが大変なので干物や、味噌漬けを買って帰ることが多いのですが、何だか価格が大阪の店と変わらないくらい上がっていました。アベノミクスのおかげで食料品の価格が高騰していますが、都市部と比べても割安感がないのは「観光地化」の弊害かも知れません。

 魚の鮮度は申し分無いのですが、中には昼網でない魚も混ざっていると商店街のHPにも掲載されています。

 このサイトを開設したのは2008年、当社開業半年後の時期でリーマンショック後でしたが、当時、神戸南京町が観光地化し、夜店みたいな安物の屋台が並んでいると嘆いた記事を書いた記憶があります。

 泉佐野の地元民の人に、漁港もある泉佐野では「観光客用の高い市場」と「地元民用の市場」があると聞いたことがあります。大阪「中之島漁港」(中央卸売市場の近くだと思います)のように最初から「観光地」として設定された施設であればそれなりの覚悟で訪れますが、大阪から明石までわざわざ出かけるのは「新鮮で」「安い」食材を求めてでかけるので、少しがっかりです。(地元の人は、どこに買いに行くのでしょうね)

 「地域の資源」=「都市魅力」で商売するのは正解でしょうが、「都市魅力の源泉」=「地域の支持、サポート」にはどう報いるか

 ずっと「ミナミ」の賑わいについて考えているのですが、外国人観光客に占拠されて、地元の利用率が縮小しています。もともと、」心斎橋や道頓堀は「おのぼりさん」むけの商売をして伸びてきた街と割り切ることも必要でしょうが、「都市魅力」を継続して育てる「投資」は誰が担うのか明確ではありません。

 「ミナミ」の魅力を使って「他所の人」が「他所の人」を相手に商売をしている姿が目立っていて、「防犯パトロール」や「景観条例」をつくって頑張っている地元の人の努力が霞んでしまっています。・・・・三井不動産とか三菱地所のような大手デベの大家さんがいるわけではないので、「大丸」「心斎橋筋商店街」「戎倍筋商店街」などの地元の方々が変化のスピードに追いつく一層の努力が必要でしょう。

                                                                           (5月25日)

 道頓堀の「今井」さんがガンバ大阪のスタジアムグルメ「美味G横丁」に出店されるようになり、スタジアムであの「きつねうどん」が食べることが出来てとても幸せです。たこ焼きの「道頓堀くくる」とともに対戦チームのサポーターにも沢山食べてもらって、「大阪」を知ってもらいましょうね。(プール計画の悪夢から解放されて良かったですね)
 ■九州に「髙島屋」の屋号が初めて掲げられる
 
 福岡市の「博多リバレインイニミニマニモ」はかつて「スーパーブランドシティ」として1999年に開業しました。福岡市最大の繁華街天神からも、キャナルシティからも少しだけ離れた場所にあります。劇場「博多座」とホテルオークラ福岡も一体になっている為、開業当初は高級ブランドが集まる専門店街でした。かつて大丸神戸店で周辺開発を成功させた長澤さんが中心になって計画されたモノです。
 天神の再開発などの影響で業績が悪化し、2002年に一旦閉鎖され2003年に再開しました。

 その後経営破綻した後、2007年から髙島屋グループの東新開発が運営に関わり始めます。2012年から100%の信託受益権を獲得し、飲食を中心にテナントを強化。2014年には「福岡アンパンマンこどもミュージアム」を開設し、ファミリー色を一層強めていました。

 6月12日から名称も「博多リバレインモールbyTAKASIMAYA」と名称変更し、「タカシマヤキッズパティオ」を2階に開業します。ボーネルンドや写真館など子供向けのサービスが集積した1,115㎡のスペースです。
 一階の「ブルガリ」ばどは退店するようですから、全く新しいカラーの店になりそうです。

 「髙島屋」は九州に「髙島屋」の屋号の店を持ちません。博多駅の出店を阪急と最後まで争っていたように、悲願の「髙島屋」の看板です。ハイランドグループでは「玉屋」が福岡にもありましたが、競争激化の中で廃業しています。

 今回、百貨店業態ではありませんが、九州地区に「橋頭堡」を築くことになりました。髙島屋を始め大丸、三越と入った呉服系の百貨店は本店の外商のお客様が地方にもおいでになるので、やはり拠点は必要なのでしょう。

 外商に限らず、「オムニチャネル」を掲げて顧客接点をあらゆるシーンに拡げていくのに自前の拠点は必要です。福岡は九州全体の人が集まりますし、アジアの観光客のインバウンドの拠点になります。

 日常の集客はファミリー層であっても、髙島屋の旗を掲げたあとにどのような「拠点作り」が行われるか、今後の展開に注目です。

                                                                              (5月21日)
 ■1920年の大阪改造計画

 大阪市の行政区画の変遷

 明治22年に「市制」が施行されたときに、東京、京都とともに大阪市は府市一体化の特例によって.,市長や市職員の業務は府知事や府の職員が代行していました。当時の市域は東区、西区、北区、南区の4区。明治30年の市域拡張によって東成郡。西成郡の大部分が大阪市域に編入されます。(現在の天王寺、都島、福島、此花、大正、浪速区のエリアです)
明治31年には市制特例が廃止され、市長や市役所職員が市政を司ることになります。

 神戸大学図書館が新聞記事切り抜きのarchiveを公表されています。(昭和45年頃まで切り抜きを継続されていたようです)
 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/sinbun/vlist/vlist.html へのリンク
 大正9年12月11日の大阪朝日新聞の切り抜きで「改造の大阪とその動脈」という記事があり、交通網の整備を中心とした都市計画について論述されています。大正14年には第2次市域拡張があり、東成郡、西成郡のすべてを編入し、13区となりました。人口211万人の人口は東京市を抜いて日本一、世界で6番目の規模で「大大阪」と呼ばれた時代が始まります。
  都市計画を紹介した記事では市内に高速交通機関を設置する必要があるとして、大阪駅を中心に市を巡る高速度線の整備が謳われています。今の環状線の一部がこの後整備されます。湊町駅から新横堀川を北上して大阪駅まで結ぶ鉄道のプランも記述されていますが、残念ながら実現はしなかったようです。(今の阪神高速環状線に並行して高架で大阪駅に繋がっていれば、関空へのアクセス鉄道として活用されたでしょうに)
 御堂筋の整備もこの時期に進められています。当初は大阪市の地盤が軟弱であることと河川が多い事を理由に高速交通機関は地価では無く高架式を中心に考えられていたようです。(昭和8年に地下鉄御堂筋線が開業します)

 工業都市であった大阪の「築港」の整備,浚渫もとりあげられています。

 いわゆる「都構想」(大阪市分割)の呪縛から離れて

 17日の投票で一応の決着がつきました。大阪市民としても迷った上での決断を尊重し、次のステージに進んでいきましょう。世代間の闘争であるとか,南北格差のあらわれであるとか無責任な言葉が飛び交っていますが、私たちはこの市民メンバーとこの場所で活路を開いていくことしか出来ないので、対立をあおる言論はスルーすればいいでしょう。(高齢者しか見ていない早朝のTVな番組で,高齢者を貶めていた在阪テレビ局のコメンテーターさんが居られましたが、あれを喜んで見てる視聴者がいるんでしょうか?利口ぶらずにタイガースの応援だけしてればいいのに)

 新聞、TVでは投票をマップで色分けしてましたが、地域の温度差を見るためには,実数で比較した方がいいでしょう。橋下市長の地元の淀川区で」賛成が多いほかは、多分「大阪市5分割」で恩恵を受けそうな中央区や北区の賛成比率の高さが目立ちます。市長がえこひいきすると訴えた西成区は反対が多かったようです。「西成区という名称を無くすチャンスというアピール」は胸に響かなかったようです。

 大阪市は貧乏なので、基礎的な福祉とかの財源は間違いなく縮小していきます。都市開発などに使える予算は大阪府(都)に移管されます。
 
 大阪府も最貧乏なので、予算は「選択と集中」で伸びていく,伸びていきそうな地域に重点的に投資されます。・・・というかもはや行政が投資して事業を実現する余力は無いはずです。民間の投資を呼び込むとしたら、やはり伸びる地域に投資が回ります。

 もし、「大阪都」になったとしたら,現在の大阪市中心地プラス国土軸上の北摂エリアに集中します。

 起死回生の「カジノ構想」(失礼IRでしたね)も、まず周辺都市(神戸、府下の都市)の理解は得られないでしょう。ただでさえ、外国人観光客は今でもあふれていますしね。(USJと道頓堀で十分です)

 現在の大阪で将来ビジョンが発表されても、どこか受け止め方が冷ややかなのは、実現の為の財政の裏付けが無い事と、話があまりにも総花的な内容である事に由来します。(区役所を西成区に作っても地域は活性化しません。南港に府庁をつくって府の職員さんのランチ需要以上の経済効果はありましたか?)

 地に足がついたビジョンで、子供達の代、孫の代まで大阪を魅力的な街として伝えていけるように、行政も企業も市民も敵対するのでは無く、一緒に頑張りましょうね。
 面白がってこの騒動を「楽しんでいた」東京を始めとする他地区のサポを震え上がらせる「大阪」にしようじゃありませんか。

 ・・・・どうスタジアム(万博)に通うようになってから、愛郷心が過熱して言葉遣いが「変」になってきています・・・・気にしないで下さいね。
                                                                 (5月20日)
 図ー区別の賛成、反対の割合

(大阪市発表数値 )

 ■中央から見えないところで「流れが変わる」
 
 林業復活の意義

 日本の林業は「貿易自由化」の生け贄として「関税撤廃」による大きな痛手を受けていました。林野庁が国民から投資を募った「緑のオーナー制度」は「和牛商法」まがいの損失を出資者に与えていました。
 林業が衰退すると治山治水の仕組みが回らなくなり、土砂災害などの原因のひとつになり、山から川を通じて海へ流れる養分が枯渇し、近海漁業に影響を与えます。植林は木を植えてから商品になるまで50年以上かかります。樹種によっては子供の世代どころか孫の世代になってやっと回収できる投資です。

 戦後、高度成長期に植林された杉、檜の人工林の伐採適齢期の人工林が2007年には35%だったものが2017年には65%に達するといわれています。

 国内の建設需要は頭打ちなので、その販売先が懸念されていましたが、輸出額が2014年に45%増となったと日経新聞3月16日朝刊で報道されています。中国や韓国での需要が高まっている中、北米地区からの供給が減少(アメリカの住宅着工件数の増加)、加えて円安の効果があり中国(96%増)や韓国(73%増)への輸出が伸びていることが背景にあるようです。

 遠い将来のための投資が、国内の木材産地を救っています。中山間地域の活性化にもつながります。

 東京でビジネスをしていると、目先の損得に判断基準が偏りがちですが、地域に住んでいると、遠い先祖からの恩恵を実感できて、未来のことを視野に入れた判断ができるのでしょう。昨晩の投票速報を見て、優秀で頭がいいはずの、M社コンサル後出身者のネット上での「暴言」の背景を考えさせられました。
 あの人達は限られた期間の限られた課題の解決に、外部からの提案をするこtぽには長けていても、地方自治体の「経営」についての知見は素人以下なんでしょうね。適材適所で活用して,不要になればお引き取りいただくことが肝要でしょう。


                                                                               (5月18日)
 ■世代論の再検討~スマホが普及した後の消費者行動の変化(途中)
 
 最近「世代論」が低調な理由

 団塊世代という言葉が流行っていた頃は、それなりに説明力があったのですが、今の40代以下の年代の人達はずっとデフレの中で、消費にインパクトがある出来事が少なかったともいえます。
 広告代理店も不況で,以前のように派手な打ち上げ方をしなくなっています。そもそも「世代論」では語れないというある意味「正論」もあって議論が低調です。消費行動に影響する時代の変化がないわけはありません。

 ,スマホの普及で,スマホ以前と以後では「情報源」やそれに基づく「コミュニケーション」は大きく変わっています。もちろんコミュニケーションの変化は世代を超えて影響を与えているのですが、最初からスマホがあった世代とそれ以前の世代では情報の扱い方が違います。

 まちづくりや商業施設論と重ねて「世代論」をもう少し,今風にブラッシュアップしておく必要がありそうです。特に,今の社会の中心であるべき30~40歳代について、しっかりと分析しておく必要があると考えています。

 とりあえずはその予告編として,従来の世代区分を整理しました。

 最近改装した商業施設で40歳代がメインターゲットというコンセプトが多いのですが、40歳代はバブル世代と氷河期世代の大きな断層があります。年代だけの区分では難しいかも知れません。

                                                                (2015年5月15日)

※5月19日の朝日新聞で社会学者の見田宗助先生が「世代が消滅し~」という原稿を寄稿されています。「かつて日本人は産まれた年代ごとに明確に違う意識を持っていました。戦中世代、戦後世代、団塊世代、新人類とそれぞれの世代に名前がついていた。でも新人類世代以降は差が無くなってきた~」と論述されています。・・・・それは違うだろうと考えているのですが、きちんと整理しておこうと思います。名前を付けたのは広告代理店ですが、商売上のうま味が無いので「名前」をつける労力を惜しんでいるだけです。
 
 いわゆる「都構想」の投票結果の解説で「世代間」の対立を煽るテレビ局もあるようですが、特に30代~40代に竹中平蔵さんの「新自由主義」の主張にシンパシーを感じて、「既得権益」を非難する論者が多いように感じます。「ロスジェネ世代」?。橋下さんの支持層はそこが分厚いのでしょうか?20代歳で低いのは何故なんでしょうね。マスコミの調査を詳しく読み込まないとなんともいえませんね。

 「ロスジェネ」とか87年以降の「ゆとり世代」とかのネーミングは悪意のある「貶め」のニュアンスが強いのであまり使いたくないのですが、ある時代を席巻した論調の呪縛から卒業できないのだなと仮説を持っています。かつて「全共闘世代」とも呼ばれた「団塊世代」があっさり転向して社会正義を掲げなくなったように・・・(もちろん、その世代でも多数派は全共闘とは全く関係なかったのですが)。それ以前の年代ではリベラリストであったり、伝統的な保守であっったりするスタンスはほぼ変わらないのに比べて、不思議ですね。 世代で全て語れるわけではありませんが、ちゃんと今の時代の「世代論」を考えておく必要があると思っています。

※不振SCをリノベーションした滋賀県守山のあの施設は「閑古鳥」がないているとネット上に出ています。本当でしょうか。伏見の近鉄のあとを引き継いだ「MOMO」は手堅い内容です。あまり「目新しい」テナントは入っていません。特にアパレルが弱い。それでも食料品を中心に集客はできています。やはりSCの成否は立地でしょうか。

 表ー世代区分と現在の年齢

※「ゆとり世代」の区分は少なからず差別的でマーケティング的にも意味が無いが、人口に膾炙しているので中途段階として掲載

(wiki、「おしゃれ消費ターゲット」川島容子、「時代の気分世代の気分」サントリー不易流行研究所)

 ■デジタルマーケティングと雑貨とこれからの商業施設
 
 浅く広く、体系の無いメッセージは誰に届けようとしているのか?

 必要があって、「デジタルマーケティング年鑑2015」(宣伝会議)を読みました。企業の最新ケーズスタディとして112社の事例が紹介されているのですが、全て初見のモノでした・・・・。広告業界とは無縁なのですが例えばTVコマーシャルとか雑誌広告などでしたら話題になっているものは大抵、みんなが知っています。ネットの接触時間は多い方なのですが、一つも知らない(保険、食品,旅行、など業種は多岐にわたりますが)。

 ネットでの企業広告の話題といえば、ルミネのネット動画が炎上した例の事件ぐらいしか思い浮かびません。

 基本的にバナー広告は「見ない」ような習慣が出来ていますので、たまにタブレットで間違えてタッチしても内容は見ません。おそらく、多くの人がそのようなスキルを身につけているはずです。メールでの広告はすべてブロックしています。ツイッター等も同様。

 マス媒体の広告出稿量が激減する中で,大手広告代理店はWEB広告に広告に活路を求めているのでしょうが、「広告」「PR」の匂いがしただけで瞬時に遮断されるので,到達率はチラシやクーポンよりもはるかに低い。

 ユーザーが自分からアクセスしてくるように仕向ける(インバウンドマーケティング)を仕掛けるのであれば,魅力的なコンテンツを提供する「コンテンツマーケティング」が効果的なのでしょう。入ってみれば、昔企業が発行していた読み応えのあるPR誌(サントリーの「洋酒天国」とか雪印がだしていた「SNOW」、通販関係では「月刊茶の間」「通販生活」、フリーペーパーの「25」、WEBサイトで言えば「ほぼ日刊イトイ新聞」)のWEB版の様なものでしょうか。
 オリジナルな情報を発信しようと思うと片手間ではできなくて、以外にコストがかかります。

 ネット上に流れる「コンテンツ」の多くは「浅く、広く、体系化されていない」ものがほとんどです。最も安直なのはものは「ニュースのまとめサイト」で刺激的な見出しを拾い集めてクリック数を稼ごうというモノです。
 
 クリエイティブなコンテンツもありますが、99%はくずです。(最もどの世界でもそうなのでしょうが)旧メディアでは「編集舎」というフィルターが機能していたのですが、ネット上にはそれはありません。個人のツィッター、ブログだけでなく企業発信のコンテンツでもその傾向があります。なぜなら、アナログな媒体で経験を積んできた人財はWEBでのコンテンツ制作にはアレルギーがあるようで,知識やスキルの断絶があるからです。

 ルクアイーレのTSUTAYAに思う

 かつて、書籍売場に百貨店の文化理解度があらわれていました。西武百貨店の「リブロ」がその代表でした。大阪の百貨店からはいつしか書籍売場そのものが無くなってしまいした。今でも,.福岡の岩田屋の「リブロ」はとても優れています。「岩田屋」「伊勢丹」の感性の高さが伺えます。

 ルクアイーレは三越伊勢丹の名前はなくなったものの、「伊勢丹」の感性の高さは随所に伺えます。メンズフロアは大阪ではここにしかないオリジナリティが感じられます。

 そのルクアイーレにオープンしたTSUTAYAは、やはり大阪にはない品揃え、売場づくりが出来ていて,偏差値の高いビレッジバンガードのような感があります。お客さんが多いのと警備員(万引きを警戒中)が多いのが印象的です。・・・・ターミナル立地でない方がいいと思いますが。(あきらかに売場効率は低い)

 ルクアイーレに関しては部分部分で素晴らしい集積がありますが、全体としては30代40代の「女子」が好きそうな雑貨を集めていて、「浅く、広く、体系がない」売場で、やはり売上げ目標達成は厳しいでしょう。長い目で見て、JR西日本の駅での商業展開のプロトタイプと考えて目標数字は抑えた方がいいと考えています。

 デジタルマーケティングの事例で見るように、特定の層には強くアピールしてもそれ以外の層にはスルーまたは反発されるような商業施設は不特定多数が集まるターミナルにはふさわしくないでしょう。
 少なくともゾーニングを明確にして、フロア別のコンセプトを明快にしないとだめです。施設の規模のわりにターゲット層が絞り込まれすぎています。

                                                                           (5月11日)
 ■乗降客数の多さに比べて注目されない京橋ターミナルと京阪モールの売上減少
 
 京橋の成り立ち

 この周辺は昔から大阪と京都を結ぶ交通の要所で、寝屋川にかけられた「京橋」という橋の名前が地名の由来になっています。京街道の起点で中河内地区から大阪に入る水路の起点でもありました。今の京橋駅は昔の京橋から1km東にありますが、京阪電鉄、JR学研都市線は昔の水路をなぞるように拡がっています。

 図-1にあるように駅の乗降客数としては大阪・梅田には及びませんが、大きなポテンシャルを持つことがわかります。

 京橋がターミナルとして一皮むけない理由

 京阪電鉄の市内の駅ではトップの乗降客数を示していますが、京阪電鉄の中長期計画ではあまりクローズアップされていません(2017年をめどに改装するようですあ)、環状線の各駅の開発でも大阪駅、天王寺駅などでは派手な動きがありますが、天王寺駅と乗降客数が変わらない京橋駅では大きな動きは聞こえてきません。何故でしょうね。

 今の京橋ターミナルはOBPのある中央区、駅が立地し、地元の商店街が拡がる都島区、JR沿線に小さな工場が多い城東区の3つの区の境界上にあります。淀川と大阪城公園があるので中央区方面にはほとんど「商圏」が拡がりません。

 駅前のダイエー京橋店はかつては都心型のGMSとしてダイエーの旗艦店舗でした。京阪電鉄の運営する「京阪モール」も創業時は心斎橋の老舗を集めて1997年頃には169億円近い売上を上げていました。潜在ポテンシャルはあるのです。

 「京橋地域のあり方」を考える行政区は都島区のようです。2012年に報告書を発表しています。広域の都市拠点としてのとらえ方はあまり無いようです。乗降客数が多いものの、京阪とJRの,乗り換え客が多くて、掴みにくいのだと思います。
 地元商店街で昼から酒をのんで「京橋はええとこでっせー」のCMの施設を自慢する人達と、OBPに通勤する3.6万人の就業者と梅田等に通勤する乗り換え客、人は多くても「焦点」を絞りにくいのでしょう。

 行政が都市としてのビジョンをだせればいいのですが,3区の境界上にあるという点は,万が一、いわゆる「都構想」が成立し,大阪市が分割再編されても,相変わらず境界線上になってしまうようです・・・・。

 大阪の東の商業核とはなれないのか

 大阪城公園の運営が民間委託され、京橋の隣の「森之宮」周辺でも大阪府の施設やURの団地を中心に開発の動きがあります。旧日生球場にはランニングトラック付きのSCがオープンしました。
 
 かつては京橋周辺でもJRの用地開発やダイエーの業態転換などの噂もありました・・・・・京阪電鉄も三条京阪や枚方市駅、中之島西部での開発には熱心ですが、京橋には(自社用地もありませんが)手を付けかねているようです。
 京阪モールの2017年のリニューアルも、おそらく最近流行の業態、洋服と小物雑貨を集めた(ルクアイーレや大丸のオトカリテ等の様な、カフェ的なグレードの女性向けの売場、いいかえればメインデッシュの無いランチプレートのような)といったありがちな店舗の追加はあるでしょうが、それでは強力な商業核にはならないでしょう。

 大阪市内の街の選別

 いわゆる「都構想」がどのように決着するかはわかりませんが、いずれにせよ、大阪市内でも「切り捨てられる」という言い方は木津にしても
「選択と集中」される地域と「選択されない」地域の差はますます拡大していくでしょう。

 京橋は一見,人が多くてポテンシャルはありそうですが、通行している人はそれぞれ別の方向を向いているため、ビジネスとしての魅力が無いと判断されてしまうのでしょうね。このままだと「選択されない地域」として衰退していくことになりかねません。

                                                                           (4月30日)
 図ー1日あたりの乗降客数比較(2013年)  地下鉄を除く 大阪環状線内の各駅
 (大阪市統計書)

図ー京阪モール売上げ推移


 ■集客数を比較するときの留意点~あらためて大阪万博の動員数の凄さを考える
 
 数値目標と動員数

 年間入れ込み数が多いのは,入場が無料である商業施設、特にターミナル立地の商業施設の来場者数の多さが際立つちます。
 大阪市内ではグランフロント大阪の5,300万人が話題になっていますが、梅田ターミナルに立地し、しかも、オフィスゾーンの通勤者のベースがある事を考えると。順当なところでしょう。
 話題のあべのハルカスは展望台258万人は東京スカイツリーの530万人には及びませんが、近鉄百貨店を含めて4,273万人はターミナル流動者、周辺通勤者の梅田との大きな差を考えると検討しているといっていいでしょう。あとは10万㎡の大きさがある近鉄百貨店が売る力を身につけるだけです。

 グランフロントのグランフロント大阪の5,300万人人やあべのハルカスの4,273万人は京都市の観光客5,000万人と数値は近いですが、その内容は違います。都心ターミナルの流動者は,同じヒトが毎日通っていて、しかも「消費意欲」は換算しています。京都観光客は「京都を楽しむ気まんまん」ですから消費意欲が違います。

 OSAKA光の饗宴2014の経済波及効果395億円 神戸ルミナリエの487億円を上回る

 イベント系の動員を見ると、冬のイベントとして定着してきた「大阪光の饗宴2014」が884万人を集めて,経済波及効果は395億円と試算されているそうです。(三菱東京UFJリサーチの試算)~毎日近くを通勤していて,当初の話題性も無く、賑わいも今ひとつと感じていたのですが、大変失礼いたしました。私の目に見えないところで経済波及効果があったのですね。
 神戸ルミナリエは344万人の動員ですが、12日間と「会期も短いですので1日あたりの動員数では28.6万人と「大阪光の饗宴2014」の18万人を上回ります。ちなみに「大阪光の饗宴2014」のメイン会場最寄り駅の「地下鉄淀屋橋駅」の乗者客数は10万人ですから、普段の倍近くの流動者があったはずですが・・・・・・・個人の主観はいかにあてにならないか・・・ということでしょうか?

 比較のために拾いだした「大阪万博」の入場者数は今から見てもすごいですね。ピークには1日83万人の入場者があったといいます。

 数値目標として提示されると,なんとなく最もらしく感じてしまいますが、流動人口は、その中身と実人数を見極めないと間違えます。例えば、お金を払って入場するUSJの1,050万人と,無料の公園に来園する大阪城公園の850万人は数字以上の大きな差があります。
 ターミナル立地の商業施設の1人あたりの購買単価が低いのは,毎日同じ人が行き来しているからです。

                                                                       (4月22日)

 新しい「ルクア」全館の入場者目標の年間7,000万人は、駅ウエの立地であるにしても高い目標設定ですね。数え方によっては見た目の達成は可能でしょうが・・・・。
 図ー年間来場者数の比較(2014年)  大阪万博は1970年当時   単位:万人
 

図ー1日あたりの来場者数
 

 ■京阪神の人口増減の特徴~都心部と北摂阪神間に集中
 
 2014年から2015年の人口の増減について、3月31日の記事を補足しておきます。人口増加は大阪市、京都市、神戸市ともに市内の都心部に集中しています。それでは郊外はどうなっているのでしょう・・・・・・。

 大阪府では吹田市、豊中市,茨木市などの北摂で人口が伸びています。
 阪神間では西宮市、東灘区で人口が伸びています。ある時期勢いのあった三田市が人口減少傾向です。神戸市北区や西区などのベッドタウンでも人口が減少しています。
 京都では下京、中京と入った都心の他は木津川市、京田辺市で人口が伸びている。
 ちなみに、図にいれていない滋賀県では草津市、守山市の人口が伸びている。

 人濃い減少率が高いのは東大阪市、尼崎市・・・・。姫路市、門真市など製造業が強い都市の人口が減少している。大阪市内では西成区の減少数が多い。西成区は自然減(無くなられた方)の数が2000人を超えているが、転入者も多いので相殺されているが、それでも減少率の上位にランクインしている。

 1年間の変化なので、大規模開発があるかないかで様相は変わりますが,概ね一部の都心と一部の郊外への人口集中傾向は続くのでしょうね。

 関西では3月26日に紹介した「大阪モノレール沿線」の動きが注目されます。単純に「都心」対「郊外」として考えただけでは見えない細分化が必要です。

                                                                  (4月7日)
     
    2日に開業したルクアイーレの開業折込チラシは千里ニュータウンには全く入っていませんでした。JR沿線に絞ったのでしょうか?

 図ー京阪神の人口の増減(2014年~2015年)   青のグラフが増加地区  赤のグラフが減少地区
 
 図ー人口の増減 ±400人以上の市区
 

(住民基本台帳からの推計値)
 ■ルクアイーレ本日開業~売上げ目標770億円達成への道
  
ルクアイーレ本日スタート

 百貨店と専門店が融合した新しい商業施設「ルクアイーレ」が本日開業します。「お腹いっぱいの状況の中で見たこともないワクワク感」」が提供されるそうです。伊勢丹のショップと専門店が「垣根無く融合」している背景にはお客様は専門店、百貨店を買い回る実態があるという「分析」に基づくものだそうです。

 高感度なセレクトショップや大阪では初めての業態の案内を見ていると確かにワクワクしますが、安物のファストファッションの面積が大きかったりするので、どのようにゾーニングされているか、落ち着いた頃に見にいくのが楽しみです。正直、リリースを見る限り、いい物もありそうですが雑然とした詰め合わせになって居ないか心配です。

 梅田には「ないものがない」「オーバーストア」と言われることもあるようですが、正直、梅田で欲しいものを探してても幕の内弁当のようにおかずは揃っていても品揃えの深みがなく、商品が見つからないのいです。・・・・これは専門店、百貨店にかかわらずですが。

 売上げ目標が770億円。月坪効率は40万円。現在のルクアの実績47.6万円に比べて抑え気味ですし、同じ駅ビルのルミネ新宿、ルミネ横浜の50~60万円台にくらべると手が届きそうにも思えます。
 ただし、売場面積53,000㎡の商業施設として考えるとややハードルが高い設定です。グランフロント大阪ショップ&レストランが423,000㎡で月坪27.3万円。52,000㎡のなんばパークス月坪14万円。規模が大きくなると非物販施設や集客力があっても売上単価の低い業態を入れて集客~回遊を図る必要があります。ルクアイーレにも「TSUTAYA」が導入されてい、ますが、これはどう考えても坪効率の高い業態とは思えません。

 現在346億円のルクアの売上げにJR大阪三越伊勢丹の300億円をすべて継承するとして646億円。130億円を周辺の商業施設から奪い取る必要があります。これはディアモール大阪とイーマの売上ををすべて合算した規模です。・・・・・ルミネ風にいえば「需要が無い」のではないでしょうか。

 百貨店の売上げには「外商」の数字が入っています。特に三越はその比率が高いのです。

 あまりハードルをあげずに赤字の縮小を目指した方が、社員さんの士気もあがったことだろうと思います。(百貨店の社員さんを大幅にリストラして、もとのルクアのスタッフだけで運営しているのなら利益は確保できるかもしれませんが)

 4月16日には「イーマ」がリニューアルオープン

 受けに回っていた既存施設にも動きがあります。かつては73億円売上を上げていたイーマが改装し、「ファッションアパレル」だけでなく「サービス業態」(ウェディング、ビューティコスメ,スパ)、「スポーツアウトドア」を取り入れてリニューアルオープンします。

 その他の施設の動きも、今後注目していきたいと思います。グランフロント大阪も何らかのてこ入れをするでしょうしね。

                                                        (4月2日) 


 スタートは好調・・・このペースを続けていけるよね?

 2日の開業は,今までに見たことのない人出で賑わっていました。団塊ジュニアに絞ったMDなので、客層はがらっと変わりました。今まで,グランフロントにいくために前は通ってもお店を素通りしていた人達がお店に入店してくれるようになりました。

 「アラフォー向けのキレイなドンキホーテ」といった印象で、きらきらとした雑貨がてんこ盛りです。「大阪の人は沢山品物が並んでいるのが好きなんです」という伊勢丹のスタッフのコメントを新聞で拝見いたしました・・・・・・。「大阪は吹きだまり」と語る札幌市長選挙の候補者のスピーチを思い出します。と同じく、「大阪人は・・・・・」というひとくくりの断定って。何だか「軽く、差別されてるんだ」と実感します。

 それはともあれ、フライングタイガーやフォーエバー21などと伊勢丹のショップはそれほどの違和感も無く共存しています。郊外SCみたいなミックスとも思えますが,今まで、都心に欠落していたMDであることは間違いありません。時流に合っているので、集客には成功しそうです。

 最近の商業施設の改装はみんな、このようなコンセプトで、「アラフォー向けの雑貨」が主体になってきています。こういうものが好きな人は好きな商品ですが、ツボを外すとゴミでしかない。必需品ではないのです。
 カフェのランチプレートみたいでにキレイに盛り付けてありますが、基本メニューはどこも同じというのに似ています。

 レストランゾーンも30~40歳代をターゲットにテナントが入れ替わっています。特に地下に新たに設置されたバルストリートは、「アラフォー向けの新梅田食堂街」という感じで若い子向けの立ち飲み屋、軽食堂が並び、その賑わいが地下鉄御堂筋線からの人の流れを作りだしています。

 食料品売場のテナントも入れ替わりカジュアルになった印象です。生鮮三品の扱いを継続するかどうかがが今後の焦点でしょう。八百一の野菜売場はいいのですが,肉、魚は食品スーパー(北野エースが新たに入っています)に集約してもいいでしょう。

 お目当ての「蔦屋」は5月開業という事でお預けでした。

 集客に成功し,回遊動線が確立したところで、JRステーションシティ全体の回遊、役割分担を計画するといいでしょう。何で稼ぐのか?

 この施設はオードブルばかりで、メインデッシュのないコース料理のようなショッピングセンターです。最近のトレンドは店の「主張」「ポリシー」を強く発信するのではなく、顧客の「好きそうなもの」を沢山集めるというのが主流になってきています。お店に入ってぴりぴりとする緊張感のある商業施設は時代遅れなんでしょうね。それにしても八方美人過ぎやしないか・・・・・一方、大人世代は完全排除ですがね。

 設定されている売上げ目標の達成は厳しいかもしれません。大阪のために、成功して欲しいと願っています。

                                                  (4月3日 追記)

 ルクアとルクアイーレをあわせた開業初日の来館者数は32万人、売上高は3.5億円だったと発表されています。4月2日は平日でしたか,週末の数字を知りたいですね。
 ちなみに2011年のルクア+JR大阪三越伊勢丹の初日の来館者数は50万人(伊勢丹三越27万人、ルクア23万人)でした。5月5日の祝日でしたから単純に比較はできません。当時の1ヶ月の平均来館者数は両店合計で1日平均32.9万人、売上は1日平均2.7億円でした(1ヶ月86億円)。

 新しくオープンした施設の年間売上は初日売上の100倍だと教えられたことがあります。換算すると・・・・・・・。連休にどれだけ伸ばせるかが鍵でしょうね。
 蔦屋がまだ開業していないという指摘もありますが、あの業態は「売上」を稼ぐための業態ではありません。

 2011年当時は発表されなかった初日上利上げ金額が、今回公表されている・・・・・・ということはある程度成算があるのでしょうね。

                                                                                 (4月6日)

 図-1 月坪売上比較  (ルクア大阪はイーレを含めた全体での目標数字)
 (繊研新聞、週刊ダイヤモンド、各社有価証券報告書から作成2013年)
図-2 梅田周辺SC営業面積比較  (千㎡)
 
図-3 梅田周辺SC売上規模比較     新生「ルクア大阪」は旧JR大阪三越伊勢丹の売上げ300億+ディアモール大阪とイーマを合わせた売上増を
                           目指す。346億円から770億円  424億円をプラスする。
 青文字の部分は当社推計値

 ■三都で進む都心居住の一部エリア集中
 
 関西の中核となる3つの大都市

 25日の記事で紹介したように,大阪市内の人口は伸びていますが、北区、中央区、西区等の都心エリアに集中しています。関西を代表する京都市、神戸市はどうなのでしょう。
 京都市は市全体の人口は減少しています。その中でも中京区、下京区、西京区といった都心エリアの人口が伸びています。神戸市に比べると人口規模は少ないのですが都心エリアに人口が集中しているという傾向はありました。景観の規制が有り、他都市のようにタワーマンションが建ち並ぶことはありませんが、それでも都心へと人が集まっています。

 神戸市は、やはり市全体の人口は減少しています。中央区といった都心や灘区、東灘区の人口は増加していますが、ニュータウン開発された北区、須磨区、西区の人口が減少しています。

 今後人口が減少していく中で、都市の中での「格差」が拡大していく畏れがあります。26日に紹介したように、一部の郊外エリアでは大学が移転し,若者が増えたり子育て世代をターゲットとした商業施設が増えています。

 神戸、京都、大阪それぞれの都心居住の課題は異なりますが、都心の中で集中が進むと取り残されたエリア(おそらく高齢者が身を寄せ合うエリア)の将来のビジョンが必要です。」今後空き家が増えていく~地価が下がる+外国人労働者が増える・・・海外の都市で起こっている葛藤を防ぐ「共生」の仕組みを組み込んでいく必要があります。

                                                                              (3月31日)
 

図ー京都市の人口変化(2014~2015)

図ー神戸市の人口変化(2014~2015)

図ー三都の人口規模比較                            図ー三都の観光客数比較

図ー三都の商業ポテンシャル比較


 ■大阪モノレール沿線が熱い~エキスポシティとガンバ大阪新スタジアムだけでない動き
 
 2015年4月 立命館大学大阪いばらきキャンパス開設

 立命館大学の新しいキャンパスには経営学部、政策科学部が移転します。2016年には総合心理学部も設置されるようです。京都衣笠、びわ湖草津キャンパスでは取り込みにくかった阪神間、神戸方面からの学生の集客が期待されています。空港にも近くなりアジア市場にもより近づきます。
 1,000名収容の大ホールやカンファレンスホール(139席)、イベントホール(400名収容)セミナーハウスも整備されて地域や企業にも開かれたキャンパスとなります。

 2015年6月 千里中央よみうる文化センター商業施設1期新築

 よみうり文化センターは1977年に千里中央に設立されたスポーツ、文化教室と商業施設で校正された生涯学習センターです。1981年にオープンした北別館「煉瓦通り」はヨーロッパの一流ブランドを取り扱うブティックが立ち並び、千里ニュータウンには珍しいハイソな雰囲気のある一画でした。
 今回駐車場のあった場所に1期工事で商業等を建築し、従来の本館のテナントとスイミングスクール(コスパに移管)が移転します。商業施設はイオンモールが管理しますが、その商業施設も一部オープンします。
 芦屋のおばちゃんが道楽でやっているようなブティックはほぼ退店し、寂しくなりますが,イオンがどんな商業ゾーンを構築するのか注目されます。

 この1期の施設はモノレールの駅に直結します。

 開業後、既存施設が解体され、2017年に商業施設(イオンモールが誘致するスーパーマーケット?)2019年には543戸の高層住宅が完成します。武蔵小杉のグランツリーのイトーヨカドーのように格好いいスーパをつくって下さいね。

 2015年秋 「エキスポシティ」開業

 旧エキスポランドの敷地に延床面積22.3万㎡の複合施設が誕生します。関西で一番集客している阪急西宮ガーデンズで延べ床24.7万㎡。その他KUZUHAモールで20万㎡。船橋のららぽーと東京ベイで25.6万㎡ですからその規模の大きさを想像して下さい。
 あえて売場面積で比較していないのは、この施設の魅力は核になる「ららぽーとエキスポシティ」だけでなく、7つの大型エンターテイメント施設と隣接して整備されているガンバ大阪の新スタジアム(仮称 吹田市立スタジアム 6.6万㎡)にあると考えるからです。既存の万博公園を含めると巨大な集積となります。万博公園には「みんぱく」もあり文化資源にも恵まれています。

 海遊館がプロデュースするミュージアム「NIFREL」、ポケモンがプロデュースする体験型エデュテイメント施設、セガがBBCとコラボした自然体感型エンターティメント施設など沢山の「コト」が詰め込まれた新しい形のショッピングセンターとなります。

 少し離れた千里山の毎日放送跡地に開発された住宅「ミリカシティ」でのファミリーを対象としたキッズルーム、インターナショナルカフェなどとともに若いファミリ層を引きつける魅力あふれる生活が北摂に集積してきています。

 もともと人気の高いエリアですが、空港、新幹線のアクセスがよく、計画されている第2名神のICが茨木市北部に設置されることからも,京阪神~関西の拠点としてクローズアップされるでしょう。

 2015年秋 ガンバ大阪新スタジアム竣工(仮称吹田市立スタジアム)

 サポーターや地元企業の募金で完成したスタジアムは国際試合も開催されます。スタジアムを起点としたスクールやイベントの開催も計画されています。昨年Jリーグで三冠を獲得したガンバ大阪は今の所アジアチャンピオンズリーグでは苦戦していますが、いずれアジアにファンを拡げる構想も持っています。

 吹田、豊中,茨木、高槻など地元を中心にスポーツを核にした地域づくりが地域の気持ちをひとつにまとめ上げていくことでしょう。希望を与えてくれのはネットワークを拡げる道筋が見えているからです。

エキスポシティニュースリリース
http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2015/0325/ へのリンク
                                                           (3月26日)
 
 

 ■大阪市内の人口の伸び~今後更に進む集中は「大阪市」の消滅を危惧させる
 
 都心回帰傾向で大阪市の人口は増加~ただし北区、中央区、西区に極端に集中

 大阪市内で2年続けて人口が伸びているのは北区、中央区、西区です。ハルカス効果もあり天王寺区、阿倍野区も開発が期待されますが、多くの区は人口が減少しています。(図-1)
 浪速区が伸びているのは難波周辺でのマンション開発があったためです。淀川区もそうですが、人気の無いエリアでも、交通の便がいいスポットで大型開発があれば人口は伸びます。
 
 より詳細に町丁別に伸びているスポットを図にプロットすると環状線の内側で,御筋沿いのビジネスゾーンの中心をぽっかりと開けて小さなドーナツ状に人口が伸びているエリアが分布しています。生活利便施設、文化施設、教育施設が整備されていて比較的大型の開発が可能なエリアは限られています。

 比較的開発しやすいエリアが虫食い状に開発されている反面、衰退している地域がはっきりしています。新住民が増えなければ高齢化が一層進みます。

 日本全体で都市機能が偏在していく流れの縮図にも思えますが、人が活発に動くエリアとそうで無いエリアの格差が一層進みそうです。

 地域をよりきめ細かくブランド化していくのも一つの方法だと思います。例えば同じ西区でも靫公園周辺と堀江では性格が違います。堀江を好む人と靫公園のパークサイドを好む人は違います。多様な人々を多様な個性で呼び込む事が大阪全体を活性化します。
 今は「利便性」が最優先されて街の歴史性や文化性がキャラクターとして確立していません。大型開発の可能性がない以上、街を身の丈に合わせて細分化していく事が生き残りの鍵だと考えています。
 選択と集中の考え方に建つと多くの地域を切り捨てることになります。
 
 「大都市問題」の解決には「大阪市」を俯瞰した視点が必要です。
 
                        (3月25日)
  図ー1 市区別の人口の伸び(住民基本台帳)
 
図-2 町丁別に見た100人以上の人口の伸びが見られるスポット(2012年~2013年青 2013年~2014年赤で表示)
 
 (大阪市資料よりANALOG作成  青が2012年~2013年の伸び 赤が2013年~2014年の伸び)
図ー大阪市内スーパーマーケットの分布
NTTタウンページより作成  中心部では生活インフラも空白地帯になっている
 
 ■関西で所得が低い割に個人消費が堅調な理由~日銀大阪支店のレポートから
 
 関西の世帯あたりの可処分所得は関どころか全国平均より少ない

 日銀大阪支店のレポートでは家計調査の分析から関西の世帯あたりの年間可処分所得は関東、日本全国の平均より少ないと分析しています。
 大阪市内の世帯収入の少なさについては当社でも指摘していましたが、関西(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)全体でもそのような傾向があるという事は抑えておくべき大事なポイントです。
 世帯主の年収は,もちろん関東より低いのですが、全国平均に近いのですが配偶者の年収は全国・関東より低いようです。・・・大学、短大進学率は全国でも高い方なのですが、配偶者の就業率が低いことが背景にあるようです。

 名目賃金は全国では2013年から前年比を上回る傾向があったようですが、関西で前年比を上回りだしたのは2014年以降です。消費税が上がっていますから実質賃金は決して改善はされていませんが、東京圏だけでなく全国より上昇率が低かったのですから、「景気改善」の実感が関西では感じられなかったのは無理もないでしょう。

 個人消費が堅調な背景は

 一方、可処分所得に対する消費支出の割あいである「消費性向」は全国より高く、既往のピークの水準に近づいています。所得水準は低くても消費は堅調であるようです。

 販売サイドの動きでは、商業動態統計では「百貨店」が全国を上回って得るに対して「スーパー」が弱めになっています。アイテムでも「衣料品」が全国より強いのに対し日常の食料品の売上げが低いという結果になっています。

 これらの統計は地元での皮膚感覚にも近いものです。

 日銀はこれらの減少の理由を3つ挙げています。

1.関西では株式などの金融資産の保有額が大きい。その為、最近の株相場の高騰が高額消費を押し上げている。
(株式保有残高 全国平均161万円 関西232万円 関東195万円 東海205万円)

2.この数年の開業ブームによる百貨店を中心とした需要の喚起があった。
 全国では縮小してきた中で関西は緩やかに拡大していた。

3.訪日外国人の需要が百貨店の売上げを下支えしている。

 関西の富裕層は動産の資産ストックが大きいのは確かにそうでしょう。首都圏でしたら、不動産と収入で富裕層が可視化されますが、関西の富裕層はその意味で、見えにくい(外からは金持ちとわかりにくい)のかもしれません。

日銀のレポートは下記ページです。
  http://www3.boj.or.jp/osaka/_userdata/chosa150320.pdf へのリンク

 百貨店の好調がどこまで続くのか?

 梅田の百貨店戦争も終結しました。三越伊勢丹は事実上撤退し、百貨店は阪急阪神グループと梅田大丸というもとの構図に戻っています。梅田大丸はインバウンドも含めた機能複合の中でコンパクトに百貨店らしさを維持しています。実際に買い物をしてみると、コアな部分は百貨店らしさを維持しています。阪神は今後阪急の補完機能を強めていくでしょう。インバウンドを除いた売上を伸ばしている阪急梅田本店の一人がち・・・・が実態です。

 西宮阪急などの郊外店や他業態との競争が焦点になります。

 グランフロント大阪は当社の調査でも利用率が高く,好調に見えます。開業時の話題性が落ち着い後の集客と、利益をどのように確保していくか、課題も多いと思います。ルクアは駅ビル業態として成功しました。関西では東京ほど駅ビルの「需要」がありません。東京の駅ビル「ルミネ」のようなお客さんは、いないでしょうね。

 旧三越伊勢丹「ルクアイーレ」はプレスリリースを見る限り、意欲的なテナント構成ですが、「導線」が悪いというデメリットは改善されたのでしょうか?

 インバウンド、海外観光客は派手でわかりやすいのですが、梅田の勝ち組である阪急はそこで伸びているのではありません。

 目に見えない「資産を持っている層」をどうつかまえるか・・・・どの店が残るかはそのポイントによって分かれます。(三越には,関西にもその資産があったはずなのですが、残念ですね)

                                                                               (3月24日)
 
 ■インバウンド需要年間2兆305億円~買い物消費は7,142億円
 
 訪日観光客の消費金額は買い物で7,142億円~中心は中国人観光客

 今年の春節商戦は「爆買い」というやや揶揄した表現がメディアを席巻していました。ASEAN諸国のビザ緩和やイスラム国の観光客対応なども話題になっていましたが、香港、台湾を含めると圧倒的に「中国人」がインバウンド需要を支えています。

 宿泊費、飲食費を含めた消費額は、中国は5,583億円、台湾が3,544億円、韓国が2,090億円、香港が1,370億円・・・アメリカが1,475億円,タイが987億円ですがほとんどを中国、韓国が占めています。※買い物はその35%。宿泊費、飲食費が高いウェートを占めています。

 中国人が訪れるのは日本より多く612.7万人(日本へは283万人)※2014年で韓国への経済波及効果は2兆円といいますから、これから中国の観光客が増えれば消費額はもっと増加します。

 日本の小売業全体の売上は年間約134兆円。百貨店業態で約6兆円。・・・・サービス業への恩恵が高いのですが、小売業に取っても無視できない数値です。今はおそらく家電量販店、ドラッグストア、アウトレット、百貨店でも銀座や大阪ミナミの一部の店に影響があるくらいですが、ショッピングセンター業界などでも注目されています。

 心配なのは国内のコンプレックスからくる反動とMDの「ゆがみ」

 TVなどでも中国人の行動についてやや冷ややかに語る人が多いのは、かつては「見下していた」国が発言力を伸ばしてきたへのやっかみの気持ちを代弁しているのだと思います。好むと好まざるに関わらず、これからもうまくお付き合いしていかないといけないでしょう。グローバル化とはそういうことでしたね。
 団体客が大量に購買してくれるのは一時的な現象で,今後個人客として来訪してくれるときにどのようにリピーターを確保するかを今の時点で折り込む必要があります。

 自治体や政府の観光関連のお役人様は不思議と「興行師」的な人が多いような気がします。一時ブレイクした九州のサッカーチームの経営を破綻させたあと民主党政権の官公庁長官に就任した方とか。また今度どこかの自治体の観光責任者になるとか。そんな事はどうでもいいですが、観光で食べていくためには地道なファンづくり、リピーターづくりが必要です。

 心配なのは、勢いのいいターゲットの嗜好に引きづら従来の顧客の好みと違ったMDになり顧客離れが起きてしまうことです。中国人観光客に人気で、商業地の地価が上昇している心斎橋筋は当社の調査では地元民の利用率や好意率がずっと減少傾向にあります。

 外国人観光客が好む抹茶味のお菓子。最近やたらスーパーの店頭に並んでいます。確かに美味しいのですが・・・売れ残りを押しつけられ?とも思います。

 インバウンド需要に焦点をあてる事と同時に、海外の観光客を含めた顧客づくりの戦略と仕掛けが必要です。
 それは興行師・テキ屋の商売の発想とは全く違ったものであることは間違いありません。

                                                                          (3月19日)
 
 
(日本政府観光局)
 ■今年の関西の大型開発は郊外に注目
 
 今年の注目はエキスポランド跡地の開発です。海遊館が水族館を設置したり、隣接する敷地にガンバ大阪の新スタジアムが建設中など新しい街の核が形成されるでしょう。秋にはイオンモール四條畷が開業します。大阪東部の四條畷市と寝屋川市の境界部分で、商業集積としてはエアポケットのような立地です。詳細はまだ発表されていませんが、今後開発が予定されている、「新イオンモール藤井寺」「イオンモール堺鉄砲町」等とともに、関西で最新のイオンモールの姿を見ることができます。

 2008年に開業した阪急西宮ガーデンズは6期連続増収で2015年3月期には全館で780億円になるそうです。1次商圏の西宮市、尼崎市、芦屋市などの1次商圏だけでなく神戸市東灘区、伊丹市、大阪市淀川区などの2次商圏でも伸びていて、商圏の広域化が進んでいます。

 エキスポランドのありゅ北摂や、西宮といったエリアは地域の生活文化が成熟した街なので、商業施設にもその文化が反映される事でしょう。

 四條畷で地域密着を進めているイオンモールがどんな地域文化を「可視化」してくれるか楽しみです。

                                                                     (3月18日)
  2015年開業の商業施設
施設名 場所 開業日 売場面積
G-7モール上津台 神戸市北区 4月1日 7,097 ヤマダ電機他
ルクアイーレ 大阪市 4月2日 33,000 http://lucua.jp/about/lucua1100_150119.pdf
もりのみやキューズモールベース 大阪市 4月27日 7,566 http://qs-mall.jp/morinomiya/news_releace.pdf
エヌクラス三国ヶ丘 大阪府堺市 5月29日 1,335 http://www.nankai.co.jp/library/company/news/pdf/140324_3.pdf
エキスポランド跡地複合施設 大阪府吹田市 10月1日 88,000 http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2014/0717_01/
京都BAL建替 京都市 8月末 11,000 http://www.bal-bldg.com/bal-kyoto/
イオンモール四條畷 79,000 http://shijonawate-aeonmall.com/static/detail/newsrelease
 ■大阪と構想~「地盤沈下」イメージから脱却する長期ビジョンの構築が必要
 
 再び進む人口の一極集中? 

 総務省の発表した「住民基本台帳異動報告」2014年度の結果では,東京圏では2009年以来の10.9万人の転入超過、大阪圏では2008年以来の1.1万人の転出超過となったそうです。特に震災以来目立っていた東京からの人口流出が反転したということでしょうか?

 りそな総研が人口の転出入に関してレポートを発表しています。それによると、東京圏へ向かう転入の勢いは鈍化しているようです。転出の勢いが弱まった結果「転入超過」という数字になっていると分析しています。
 一方、大阪圏については転出者数はほぼ横ばいの中で転入者が減っていることによって転出超過となっている事を指摘。90年代には2~3万人にお転出者があったことを思えば,ダダ漏れ状態は収束しているということです。

 震災が風化し、原発事故のショックが薄れたことで、東京から脱出しようという風潮は収まった中で、東京オリンピック需要で,国内で唯一景気が良さそうな東京圏ですから,本来はもっと人が集まってもおかしくないのですが以外な結果です。

 デベロッパーの不安?

 昨年から、仕事で東京圏と九州の佐賀福岡を頻繁に訪問して感じたことがあります。

 東京の湾岸部に高層マンションが立ち並んでいますが、人の生活の匂いがしない・・・・・。まちが形成されていないように感じました。同じように高層マンションが建ち並ぶ武藏小杉駅周辺の街の勢いと比べてどこが違うのか・・・・商業施設のバラエティと質で読み取れます。
 オリンピック景気にわいているはずの東京でもデベロッパーの投資は一部の人気立地に集中していて、投資意欲は必ずしも高いというわけではないとも聞きました。中堅どころの積極的な開発が影を潜め、大手企業は投資先を慎重に選択しています。

 ショッピングセンター、百貨店の開発でもぜひこれは見ておきたいというのも無くなりました。お金がジャブジャブ市場に流通させているといわれている割に東京でさ事業者は慎重です。

 九州では佐賀県の県庁所在地佐賀市の繁華街の閑散とした風景と福岡市の天神、博多駅の賑わいの対比が印象的でした。福岡は九州の中核となって九州の都会的要素が集中しています。都市としては大阪よりずっと洗練されています。・・・とはいうものの久留米市や大分市、熊本市はそれぞれの地域なりの街の賑わいがあります。佐賀だけが特異なのかもしれません。
 ちなみに佐賀県武雄市の図書館がTSUTAYAが運営すると話題になって居ましたが、張りぼての本が装飾として並ぶなんちゃって図書館である事があきらかになって一時の注目が薄れてきましたが、スターバックスコーヒーがある都会的な雰囲気だけで市民にとってうれしいのかなとも思います。(はりぼては何時かメッキが剥がされますが)

 大阪に構想を

 地方の人口減少を抑えるために地域に中核都市を整備(ミニ東京みたいな)海外からの投資を呼び込んで活性化しようという提案もあります)福岡市などはそのモデルなのかな・・・・。肝心の東京の求心力が微かに揺らいでいる中で、その構想の是非はともかく、関西の中で大阪は中核機能を担えるのかということを検証してみる必要があります。「日本沈没」で有名な小松左京のポリティカルフィクションに「首都消失」という「お話があります。首都が突然消失したときに対応の中心となる関西でリーダーシップを取るのは大阪府の首長ではなく,兵庫県の首長でした。昔の小説ですから,今の首長がどうこうということではないですよ。・・・・・経済規模では「大阪」は大きいのですが,都市機能としては大阪市、神戸市、京都市とその都市間のエリアがまとまって将来構想を語ることが必要です。

 大阪だけの事をちまちまといじっていても活路は開けません。どうも東京に選択と集中していても今ひとつ「希望」が見えない中で、「ミニ東京都」と違った未来像を描く夢のある構想力が求められます。

                                                                             (3月13日)

 追記

 3月13日は第一回の大阪大空襲から70年目に当たります。一般民間人の居住区をターゲットとした無差別爆撃は8月14日敗戦前日の京橋駅の大惨事まで続きます。大阪の都心部は焼け野原となり、都心の歴史的な建築物、とともに多くの生活が失われました。   黙祷

 あの焼け跡から立ち直って今の大阪があります。大きな時間軸の中で都市はその命を輝かせます。

 この先、いつか、大阪の街や文化が解体されることもあるかもしれません。それでも、大阪の街を愛する人が生き延びている限り、人や歴史の繋がりを記録して、再建のための構想の土台を整備しておきたいと思います。「新なにわ考現学」もきっと大阪のために、役に立つ日が来ます。

 ■大阪のシビックプライドとなる街は・・・・
 
 好きでかつ自慢したい街
 
 今回の調査では「うめきた・グランフロント大阪」が唯一、「好き」でかつ「大阪を案内するときに自慢したい街」としてポジショニングされました。前回このポジションに近かった「千日前道頓堀」と「御堂筋心斎橋」はともに「好き」のポイント「自慢したい」ポイントを大きく落としています。

 大阪といえば道頓堀、心斎橋筋商店街の外国人観光客の賑わいですが、地元の生活者の熱は冷めてきているようです。

 百貨店への免税店の誘致などインバウンド対策は進んでいますが、リピーターを創る魅力造りという点では,必要性は認識されていても後回しになっているように感じます。外国人旅行者も団体客から個人客に必ず移行します。その時に魅力を維持できるでしょうか。

 大阪城3Dマッピングの失敗に学ぶことが必要です。興行師は一発当てればOKですが・・・・・賑わいを続けていく「智恵」が必要です。
 
図ー好きな街(横軸)×大阪の街を自慢したいときに案内したい街(縦軸)2次元図

 2015年「新なにわ考現学2015」                      2005年「なにわ考現学05」
 
■順風に見える賑わいのなかでの綻び~民間の智恵は万能では無い

 あべのハルカス年間来館者4237万人~目標の1割減

 3月7日に開業1周年を迎えた「あべのハルカス」は目標の4740万人を1割下回る4273万人の来館者となりました。賃貸オフィスの成約率は93%ですし、展望台は目標を80万人上回る258万人、大阪マリオット都ホテルは目標30万人に対して73万人が利用していましたが、あべのハルカス近鉄本店が計画の4500万人に対して3583万人と大きく目標を下回っています。百貨店が足を引っ張っていると報道されています。
 美術館の来館者も目標の50万人に対して36万人と下回っているのが気になります。

 百貨店も美術館もオペレーション次第で集客はあげられます。特に開業1年目で注目が集まっている中でこれは大きな問題です。百貨店の問題点ははっきりしています。

 大阪城3Dマッピング来場者は目標の半分以下?

 昨年は目標の50万人を超える59万人を集めた「大阪城3Dマッピング」は今年の目標80万人を大きく下回る34.6万人に終わったことがわかりました。何かと話題の大阪観光局が関わっているだけに、冷ややかな視線が向けられています。運営は民間のHISですが、昨年から大きく増やした目標設定が間違っているのだと思います。会期を2週間延長してこの数字ですから・・・・別に個人が弁償する必要はないですが、その原因を徹底的に洗い出して2度と間違えないことが何よりも重要です。

 外から見ていて感じるのは責任の所在があいまいで、当事者意識がどこにもないのだと思います。かつての3セク事業の失敗にも似ています。3セクの時は行政と民間の権限があいあまいだったので行政主導で失敗したという反省から、今回は、民間に主導権をとらせたつもりなのでしょうが,例え民間であっても企業間、部門間の責任の所在が曖昧だと組織は機能しないのです。

 それはJR大阪駅にあった東京の一流百貨店の失敗や、あべのハルカスの不調の原因でもあります。行政が駄目だから民間に任せればOKなどという単純な理屈ではありません。民間人だから役人より賢いこということはありません(その逆も)。肝心なのは組織の設計です。
 立派な会社から国営放送のトップに据えられたあの人や、民間企業のトップから公営企業の幹部に取り立てられたあの人も決して能力が劣るわけでは無く、その人を支えていた組織から移植されて、フォローする役割の人が居ないため、悪いところばかりが目立ってしまって非難を浴びているのだと思います。

 私は基本的に「野に遺賢」などいないと考えています。特に「弁護士」と「自称コンサルタント」は危ない・・・。公立の学校の校長への民間人の起用や区長への民間人の起用が多くのスキャンダルを産むのは、既得権を持った官僚のいじめやリークのためではなく、個人のパーソナリティーで組織文化を変えることが出来るという誤解からうまれた軋轢です。意図している事は理解できますが、着手するポイントが間違っています。

 文化資源の安売りについて・・・・

 3Dマッピングや大阪城でのモトクロスに関して・・・・・,最初は歴史資源とのミスマッチで新鮮かも知れませんが、2度目3度目になると飽きられるのは、喩えは悪いですが一度ヘアヌードを出した女優さんの市場価値がなくなって2度目、3度目と写真集の売れ行きが落ちるのと一緒で、とても「知恵」とも言えない興行師的なその場しのぎの思いつきです。興行師ではあれば例え大失敗しても,次の稼ぎで取り返せばいいのですが、公共的な資産を使っての「興業」は本来大失敗はあってはならないはずです。

 大阪城公園に関しては電通などの共同事業体が4月以降パークマネジメントを請負、34億円を投資して34億円を投資して850万人の来場者数を1000万人に増やすそうです。電通のプロとしての仕事に大いに期待したいところです。

 奈良県、関西広域連合に観光、防災に限って参加

 3月7日奈良県が観光、防災に限って関西広域連合に参加し関西全体での観光客誘致に参加すると発表されました。大変結構な事だと思います。たまたま今年は中国人観光客などが目立ちましたが、まだまだ韓国への観光客の五分の一程度しか来日していませんし、新幹線が開通した金沢などポテンシャルの高いライバルが国内にも沢山あります。

 観光客にだけ依存することは危険ですが、勢いを受け止めてリピーターを確保する為には広域の連係が必要です。良い判断だと思います。

                                                                    (3月9日)
 ■観光客があふれる今だからこそ「関西広域観光戦略」の実行計画を
 
 目の前のお客様を掴む事と同時に「関西」としての「戦略」を広く議論しないと3.14ショックを乗り越えられない

 アジアで広く祝われている「春節」の時期を迎え、今、大阪市内には中国人観光客を始めとする外国人観光客があふれています。整備が遅れていた外国語の案内表記や、店舗での外国人対応が進む事はたぶんいいことなのでしょう。
 日経新聞の記事では大阪の観光名所だった「心斎橋商店街」は外国人に人気の観光スポットベスト30に入り人気スポットだそうです。道頓堀「千房」の来店キャ君も半分は外国人観光客で、ドラッグストアの「マツモトキヨシ」の一階の客の8割は中国人客で埋め尽くされているといいます。
 髙島屋大阪店の免税売上高はほぼ4倍で、販売額は全国一番だそうです。百貨店では冷遇されている家電売場で炊飯器などが売れています。

 商店街では「お客様は目の前にいる。商況の変化に合わせて街作りをすすめるのが大阪が商都として400年続いてきた理由だ」という見方があるようです。

 誰もが思っているように、「爆買い」と揶揄されている団体客の大量購入はいずれ沈静化します。その時に、今来ていただいているお客様がリピーターとなっていただけるおもてなしと環境整備が必要です。

 当社の調査で、「心斎橋筋商店街」の利用率は低迷しています。低迷しているだけに、目の前の思いがけない商機に高揚する気持ちは良く理解できます。商売に忙しいときほど少し先の事を考える「戦略」が必要です。・・・・・この状態は(確実に)そんなに長くは続かないのです。

 関西と北陸の長い絆の終わりが近づいている

 北陸と関西の動きは2010には1,650万人と、北陸~首都圏の2.5倍でした。北陸から関西の大学に進学する人は高卒者の16%を占めていました。3月14日の北陸新幹線の開業後、東京~金沢間は2iz間28分と1時間20分短縮されます。かつては「関西の奥座敷」と呼ばれていた北陸は確実に「首都圏の奥座敷」になります。大阪からの特急サンダーバードはの富山までの直通便はなくなります。
 首都圏の大学への進学が増えて、首都圏への一極集中はますます加速します。

 関経連が2月3日に「関西広域観光戦略」を発表しています。ある時期活発だった「関西広域連合」の話題が最近下火です。経済界だけで無く、自治体も危機感を持って連係しなければ乗り越えられない危機が迫っているのに「広域観光戦略」についての議論が盛り上がらないのは何故でしょう。

 目の前の商いに忙殺される商人に未来の事を考えさせる展望を示すのが、企業や行政、大学そしてジャーナリズムの責任だと思うのですが。

                                                                          (2月24日)

 余談ですが、日本に不足している人材は「組織をマネジメント」する訓練を受けて、ノウハウを持った人財ですね。すくなくとも「市場」には存在しない。いくら民間の力を行政に・・と入ってもフリーの人財は極めて少ない。もちろん、既存の組織の中に違った管理者を入れることへの反発はあるでしょうが・・・・。
 ■「来客数減少時代のスーパーマーケット」について
 
 2015年版スーパーマーケット白書(一般社団法人 新日本スーパーマーケット協会)

 http://www.super.or.jp/?page_id=6709 へのリンク


 一般社団法人 新日本スーパーマーケット協会が発行している。「2015年版スーパーマーケット白書」で食品スーパーの来店客数の減少について、その要因が分析されています。

 食品スーパーの来店客数はこの数年ずっとマイナス状態が続いています。「アベノミクス」は食品スーパーに関しては効果は無かったようです。消費者の購入回数も減っているようです。競合では「百貨店」「ドラッグストア」が食品売上比率を高めています。ドラッグストアは品数は少なくても価格は安いのが魅力です。高齢化に伴い「宅配ビジネス」もシェアを上げているようです。フードデザートと呼ばれている地域でも、意外にドラッグストアだけはあったりしますしね。

 人口減少、高齢化は確実に進んでいます。食品支出額の年代別のシェアは2015年では、59歳以下:60歳以上で56.0%:28.7%と2倍弱の開きがありますが、2025年には51.4%:29.3%、さらに2040年には40.7%:31.0%と1.3倍まで差が縮まります。

 人口が増加してきた時代に出店してきた食品スーパーは事業構造を見直す必要があります。

 都心の百貨店などではまだ、インバウンド需要などの「伸びている市場」がありますが、(インバウンドに傾斜しすぎると危険なのですが、伸びている市場があれば企業は前向きな雰囲気に包まれます)食品スーパーは「外需」に頼るわけにはいかないですね。


 詳しくは上記ページからレポート本編をダウンロードできます。

 「自治体消滅」時代の小売業

 人口減少と、東京への一極集中によって、これから消滅する自治体が増えてくるともいわれています。基本的に地域から離れることができない「ジバニャン属性」の小売業はどのように生き残りを図るべきなのでしょう。

 先日、佐賀市を訪れましたが、日曜日の中心市街地はゴーストタウン状態でした。地元百貨店「佐賀玉屋」も風前の灯火の様に見えました。人々は郊外のショッピングモール「ゆめタウン」で肩を寄せ合うように買い物をしています。県庁所在地とは思えない人の賑わいでした。

 新しいタイプの「イオンモール」や「コンビニエンスストア」は地元の食材や、店舗をとり入れる取り組みを始めています。佐賀の「ゆめタウン」はまだそこまでは進化していないので余計寒々しく感じられるのでしょう。

 地域で生き残るためには、地域の特性によって色々なバリエーションが考えられます。チェーンストアオペレーションだけでは対応できない柔軟性が必要です。佐賀の風景も考えながら予測すると、「介護」「健康」+「業態複合」〈ドラッグストア、食品、都心店の商品受け散り)+宅配または巡回販売の組み合わせ+教育産業など地域に必要な機能が一体となって集約されたものになると考えています。ひとつの業態の枠組み、あるいは公共、民間の枠組みだけでは解決できない課題があります。

 地方にダムのような「ミニ東京」をつくるという構想は現実的なようで失敗します。かつてのニュータウンの地区センターのように、中央センター~地区センターのヒエラルキーの中で衰退していく危惧があります。

 くわしくはまた、じっくりと論じることといたしましょう。

                                                                                (2月18日)
 ■「道頓堀プール計画」をここまで引きづった理由~常識の崩壊
 
 道頓堀プール計画が正式に中止になったようです

 当初から、実現性や必要性については疑問視されていました。少なくとも専門家は絶対に薄ら笑いを浮かべて語っていたはずです。常識的に考えて採算がとれないですし、採算が取れなくてもやってみようという「夢」のある計画でもなかったはずです。
 
 それでも新聞報道では、発表をあたかも実現の可能性があるがごとく垂れ流していました。人気者の市長への遠慮でしょうか?当初から市長は行政は関わらないと明言していましたし、積極的に関わろうとした形跡はありませんでした。
 
http://www.asahi.com/articles/ASH1Y6GNLH1YPTIL027.html へのリンク

http://www.sankei.com/west/news/141007/wst1410070028-n1.html へのリンク

 同じような事は北新地の「TV芸人の銅像設置」の報道でもみられました。通りの名前まで変えるとか・・・・。これも常識的にはありえない話でした。」(その後の後妻業騒動がなくても)

 メディアの現場記者やデスクの意識の中に、「道頓堀」や「北新地」の街の「格」についての意識が無かったのでしょう。・・・・ただし、これはマスコミ批判ではありません。もともとメディアはそういうものです。

 大阪の中で「由緒」とか「格式」を持っていたはずの土地を地元の一部の人が自ら貶めてきた結果だと思います。

 まず「常識」で考えて議論するに足るかどうかを考えてことにあたるべきです。

 道頓堀や北新地の活性化についてお手伝いできることがあれば、なんでもお手伝いしますし、堺屋太一先生への敬愛の念は変わりませんが、「常識」を取り戻して、さらにさらにそれでも「常識を超えた」ことを実現したいという気持ちを喚起するプロジェクトを構築していくことが必要です。

 「力」で押さえつけて、陰で冷笑されるより、おもてだって議論できるような進め方をするべきでしょう。

 発言力のあるド素人の意向やメンツを忖度して、初級レベルの議論を繰り返しているのは時間とお金の無駄遣いだと、私は思います。

                                                                       (2015年1月30日)
 ■今年の記事の方針について
 
 新年になって,更新が滞っています。

 業務が多忙と言うこともありますが、なにわ考現学を25年間続けてきて、もう少し踏み込んだ論考をまとめたいと考えているからです。
 表層のイメージを追うなかで、そのイメージを形成する「要素のレイヤー」を分解することに興味が移ってきています。

 何故、都市環境を整備し、ガス灯が立ち並ぶ三休橋筋に、場違いな「新世界の串カツ屋」が出店してしまうのか?何故、空き地が解消されて、高層マンションが立ち並んでも「街の賑わい」は復活しないのか?何故、人が集まり海外の高級店が集まる心斎橋の地元民の利用率、好意率が激減したのか?
 
 何かおかしいですよね。「まちづくり」のステークホルダーに「言葉」「概念」が共有されていない事が一つの原因かも?

 とかいうことを,深掘りしていきたいと思っています。

 また、小売業については気になるトピックスをその都度発信していきます。

 今年もよろしくお願いいたします。

                                                                        (2015年1月19日)
■ 「街のイメージ」は単一のものいではなくいくつかの要素がレイヤーされた結果として「色」がついている
 
■それぞれの「要素」についてまちに関わるステイクホルダーは異なったプライオリティを持ち、異なった「言葉」で語る
 
 今、例えば大阪の船場や心斎橋・御堂筋、道頓堀などで「まちづくり」が袋小路に入っているのは、「結果」=数字になる成果を求めるあまり
 レイヤーの要素について考慮されていないからである。これは大阪だけの問題で無く、行政の政策が「数値目標の達成」をゴールとしている
 事に由来する。
 
 とにかく、「成果」を上げるためにプロセスや持続可能性を後回しにしている・・・・という事だ。

これらの人々が「共通の言葉」を獲得することで、持続可能な「まちづくり」が達成される。

①旧住民(コミュニティを形成しまちの歴史を知る)

②新住民(まちの雰囲気に惹かれて住まいを選ぶ)

③企業通勤者(エリア内の企業に勤める)

④地元商業者(商店街でながく商売を継続)

⑤飲食物販の起業家(まちに惹かれて新しい店の出店を選ぶ)

⑥起業家(この立地で新しい事業を始めることを選ぶ)

⑦地元ビジター(店や地域の文化歴史に惹かれて訪れる)

⑧広域ビジター(海外、国内の観光客)

⑨デベロッパー

⑩行政


 (analog 作成)
2014年の記事は下のボタンBACKをクリックしてください
Copyright(C) 2009 analog All Rights Reserved.)
BACK